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  1. 富山県議会 2022-06-01
    令和4年6月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                      午前10時00分開議 武田委員長 おはようございます。  ただいまから、本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        山崎宗良委員の質疑及び答弁 2 武田委員長 山崎委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 山崎委員 皆さん、おはようございます。  ヤクルトスワローズの内山壮真選手がプロ1号同点ソロホームランでチームの勝利に貢献するなど、上市町出身選手の活躍に胸躍るものがあります。解説者からは、WBCの正捕手になるだろうとの予想もありました。  また、先日、長野県で行われた都市対抗野球北信越大会で、上市町のロキテクノ富山が初優勝し、東京ドームの全国大会に出場することになりました。町を挙げて応援に行ってきたいと思っております。  地域の皆さんの活躍にあやかって、私も本日のトップバッターとして頑張ってまいりますので、よろしくお願いをいたします。  まず、産業振興について7問伺います。  コロナ禍により逼迫した運転資金を供給し、事業継続を図るため、富山県においても制度融資などの資金繰り対策が行われ、おかげさまで多くの事業者が事業を継続できております。県当局の皆さんの御尽力に心から感謝を申し上げます。  現在、返済時期を迎えて、中小企業、小規模事業者の中には資金繰りが圧迫されている事業者も少なくないと思われます。今定例会で予算計上されている事業は、積極的設備投資などへの支援が中心だと思いますが、このタイミングでは、倒産や廃業する事業者を極力減らすことで景気と雇用を維持することも重要と考えます。現在の資金需要についての認識と今後の資金繰り対策について、新田知事に伺います。 4 新田知事 私が民間人の頃、富山サンダーバーズという野球チームの設立に関わってずっと応援団長をしていましたが、サンダーバーズ、やはりなかなか芽が出なくて引退する選手もいるのですが、それをロキテクノさんが結構たくさん採用いただいていまして、彼らが活躍するのを私としては大変うれしく思っているところです。  御質問にお答えしますが、令和2年度末まで実施しました3年間実質無利子・無担保の県制度融資、いわゆるゼロゼロ融資ですが、現在、約6割で返済が始まっています。残り4割の多くも、来年6月以降に返済が開始されると見ております。  民間の調査によりますと、2021年(令和3年)、これは暦年ベースで1月から12月の県内倒産は、前の年の2020年に引き続き低水準ということでありますが、原油原材料の高騰が深刻化する中、全国の中小企業の約3割に過剰債務感があるというデータもあります。引き続き緊張感を持って県内中小企業への影響を注視していく必要があると考えております。  こうした中で、本県ではこれまでも、全国知事会とも連携し、金融機関に対する指導の強化、経営改善などの支援充実を再三国に働きかけています。また、3月24日には、県の銀行協会に出向きまして、庵会長とお会いし、円滑な資金供給、また経営改善に対する支援に特段の配慮をお願いしてまいりました。  国から金融機関に対しては、5月に改めて原材料高騰などの影響を受ける事業者の条件変更などを含めて、最大限柔軟な資金繰り支援について通知がなされ、県の重要要望としても返済の本格化を見据えた資金繰り支援の継続強化を要望しているところです。
     令和3年度の県の制度融資実績は、令和2年度からの反動で、件数、融資額ともに前年度比で約9割の減少──1割の件数であり金額ということですが、今後は経営改善を含めた資金繰り支援が一層重要となると理解しています。金融機関の伴走を要件とするビヨンドコロナ応援資金を創設し、多くの事業者に利用いただけるように、県補助により保証料をゼロとしております。  引き続き、国や市町村、商工団体、金融機関などと密接に連携をし、国の動向も見極めながら、事業者への適時適切な資金繰り支援に万全を期してまいります。 5 山崎委員 ありがとうございます。景気安定のために、手厚い支援を今後ともよろしくお願いいたします。  中小企業、小規模事業者の中には、新規の設備投資や販路開拓などにより新たな収入源の獲得に向けて取り組もうとしている事業者もありますが、借入金の増加により自己資本比率が低下しているため、融資を受けることが難しい事業者も少なくないと認識します。  県制度融資の審査における自己資本比率の緩和など、中小企業、小規模事業者の事業継続支援を強化していくべきと考えますが、中谷商工労働部長の所見を伺います。 6 中谷商工労働部長 県制度融資──県からの預託による民間金融機関との協調融資でございますが、そういうことから個別取引先に対する与信判断というのは、各金融機関におきまして、財務諸表等に基づき、企業の経営状況や収益性、将来性も含めて審査をされ決定されていると承知しております。  国からの金融機関に対するいろいろな働きかけですが、今、知事からも御答弁がありましたが、長引くコロナ禍に加え、原油・原材料等の高騰を背景にいたしまして、金融の円滑化と資金繰り支援の徹底等について通知がなされております。  まず、事業者の立場に立った最大限柔軟な資金繰り支援に加え、経営課題を抱える事業者の相談に親身に応じて経営改善支援に努めること、それから、事業再構築補助金等の国の支援策も活用した取組の促進等が求められるところでございます。  また、県内の金融機関や信用保証協会におきましては、両者が参画する中小企業支援ネットワーク会議等を通じまして、事業者支援の目線をお互いにそろえるなど、経営改善を含めた事業継続支援に向け、連携体制を強化されているところでございます。  県におきましても、これまで金融機関が伴走支援を行うビヨンドコロナ応援資金──先ほど知事からも話がありましたが、これの上限の拡充や、事業復活緊急応援金──これは補助金でございますが、そういうことによりまして事業の継続を、それから中小企業ビヨンドコロナ補助金によりまして再建や成長発展を支援してきたところでございます。さらに、6月補正予算にはエネルギーや原材料の高騰を受けて、ビヨンドコロナ補助金の対象拡大や、省エネ・コスト削減枠の追加等を盛り込んでいるところでございます。  引き続き、事業者の実情に応じたきめ細かな経営改善支援につながるよう、金融機関や保証協会、商工関係団体等の関係機関と連携し取り組んでまいりたいと考えております。 7 山崎委員 よろず支援拠点へ同行をいたしました。事業者の方と一緒に行ったのですけれども、金融機関側は「信用保証協会さんがうんと言えば貸します」と、信用保証協会さんは「金融機関側がうんと言えば貸します」ということで、これは取り組めば復活するだろうという事象があっても、そうやってお互いに譲り合って前へ進まないという事例がありましたので、そこで貸さずに倒産してしまうと、これはまた大きなマイナスにつながると思いますので、そういったところをまた御支援よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、燃油価格高騰は、トラック等の運送事業者の経営を直撃しています。6月補正予算案では、ビヨンドコロナ補助金の拡充が盛り込まれ、低燃費化改修への補助など間接的な支援は充実していますが、喫緊の課題として燃料費の直接支援が必要だと私は思います。中谷商工労働部長の所見を伺います。 8 中谷商工労働部長 自動車運送業界の皆さんからは、去る5月18日に要望をいただきまして、私も同席をさせていただいたところでございます。トラック協会の皆さんからは、燃料価格高騰による影響についてお話を伺いました。それから、コロナ禍で厳しい環境に置かれた事業者がおられるということもお伺いをしました。  その一方で、昨年来、県内製造業において生産が回復してきたということ、それから、巣ごもり需要で外出抑制に伴ってオンラインの物流が増えているということを受けまして、一定程度取扱量は確保しておられる、もちろん燃油のコストは上がっているのですが、売上げは必ずしも落ちていないという事業者もおられるという話を伺ったところでございます。  これまで、コロナ対策としての国や県の補助金につきましては、売上高の減少を要件とするものが多く、該当される皆さんには御活用いただいて経営を保ってきていただいているところでございますが、今回トラック協会からのお話も受けまして、県といたしましては、先ほど委員からお話がありましたとおり、中小企業等のDXや販路開拓などの生産性向上等を支援するビヨンドコロナ補助金の要件に、燃料価格の高騰等による利益率の減少を加えまして、省エネ・コスト削減枠を新設いたしますとともに、これは他の業種においても同じような課題だということで、業種を運送業に限定せず適用すること、これを6月補正予算案に盛り込んだところでございます。  燃料価格につきましては、その背景にある世界情勢の終息がまだ見通せていないところでございます。国による抑制措置も講じられておりますが、運送業者の皆様には、地域にとどまらず日本の物流を支えていただいていると考えております。公的な料金の上限規制が設けられていない業態でありますことから、日本の経済、社会全体の中で、持続的な効果をもたらす対応が図られていく、それが望ましいと考えられるところでございます。  トラック協会の皆様は、このためにいろいろな活動をしておられまして、私どもとしては引き続き、運輸事業振興助成交付金、大体県としても2億円ほどを交付しておるわけでございますが、それによってこの活動を支援してまいりたいと考えております。  県内の運送事業者の皆さんには、拡充したビヨンドコロナ補助金によりまして、DXの推進とともに燃費を向上させるタイヤや車両への更新、エコドライブを支援するドライブレコーダーの導入など、省エネ対策になります持続的な生産性向上に取り組んでいただきたいと考えております。  県としましては、これらの制度を十分周知いたしまして、引き続き、燃料価格の動向や関係業界に与える影響を注視してまいりたいと考えております。 9 山崎委員 経済の動脈が止まらないように、また支援のほどよろしくお願いをいたします。  続きまして、農業についてお伺いをしたいと思います。  県では、担い手確保など就農者を増やすための支援が力強く行われています。就農スタートアップ支援事業もその一つで、農業施設や機械などの設備投資について支援が行われています。うれしいことに、近年、申請者が増加したために予算枠が不足し減額交付されていると聞いていますが、新規就農をさらに促進していくためには、設備投資の負担軽減がとても重要だと認識します。新規就農者の農業機械等の導入に対する県の予算枠を増やすなど、支援を着実に行っていくべきと考えますが、堀口農林水産部長に伺います。 10 堀口農林水産部長 新規就農者への支援ということでございますが、国におきましては、これまでの就農前の準備あるいは就農後の経営確立までに必要となる資金の助成に加えまして、今年度新たに農業機械等の導入を支援する経営発展支援事業が創設されました。この事業は、今年度就農する者を対象に、例えば、年間所得目標の基準250万円を上回る目標の設定や、法人化の実現などの目標を定めました5年間の事業計画を策定いたしまして取り組むことが求められております。国の補助率2分の1に加えまして、県4分の1、市町村にも御協力をいただいて8分の1の上乗せ支援を行うこととしております。なお、県内からは6経営体が現在申請中ということでございます。  また、就農スタートアップ支援事業につきましては、これまで新規就農者の青年等就農計画に基づく農業機械等の導入に県市町村が協調いたしまして、県3分の1、市町村6分の1で助成をしてきましたが、今年度は、国の新規事業が対象とする今年1月以降の就農者を除きまして、令和3年度以前の就農者を対象に引き続き支援をしていくこととしております。  この事業の令和4年度当初予算額は2,000万円。市町村や各農林振興センターを通じまして、農業者等のニーズ、近年の新規就農の動向なども踏まえ計上させていただいたものであります。今年度募集に当たりまして予想以上の事業要望をいただいておりますことから、現在その対応について検討をさせていただいているという状況でございます。  委員御指摘のとおり、新規就農者等の確保、定着を図るためには、負担の大きい農業機械等の初期投資に支援することは大変重要だと思っております。引き続き、新規就農者のニーズの把握に努めまして、国の事業を最大限に活用しますとともに、市町村とも連携しながら必要な予算確保に努力してまいります。 11 山崎委員 ありがとうございます。  収益性がよければ就農者も自然に増えることと思いますが、こういった支援は大変重要なポイントだと思います。今後もそういったハードルを乗り越えて、就農しようとされる方々に手厚い支援をよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、水素発生装置についてお伺いいたします。  昨年の9月定例会でも同様の質問をさせていただいたのですが、高岡市で生まれた廃アルミから水素を発生させる技術の普及促進についてであります。この技術は、地域内循環経済エネルギーミックス、ベンチャー育成、ゼロカーボン、資源リサイクル、この5つの課題を一気に前進させることができます。  私たちが日頃汗をして稼いだお金の消費先は、食品スーパーにしても、衣類にしても、主に県外の大資本へ流れます。また、コロナ禍で、ぽちっとインターネット通販ということで、私たちの消費行動は県外へお金を流出させることが主になっており、県内にあまり残りません。人もお金も県外に流出すれば、富山県は元気になる理屈になりません。逆にこれを県内で流通させることができれば、お金がたまりやすく豊かになる可能性は大だと思います。特にエネルギーは経済の柱ですので、地域内で循環する意味は大きいと思います。  県外では、トヨタのウーブン・シティの実証実験に採用されており、県内では、高岡市福岡町のモン・ラックタカオカ──旧家族旅行村のボイラーに採用されています。うまく育てば、この技術を中心とした企業城下町ができる可能性もあると期待が膨らみます。県内のエネルギーミックスにおける水素の比率を上げ、地域内循環経済を構築していくため、県有施設においても積極的に活用すべきと強く推奨します。新田知事の所見を伺います。 12 新田知事 委員から御紹介ありましたベンチャー企業のアルハイテックさんですが、これまで県も技術開発や特許の取得などについて支援を続けてまいりました。そして、このたびNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究開発型スタートアップ支援事業に採択をされました。大変にいいニュースだと思います。地域のアルミ資源を利用する水素製造プラントの製品化に取り組んでおられ、今年度はそれと市販の水素ボイラーと連結できる水素製造装置を開発され、来年度の実用化を目指すと聞いております。  この水素製造装置の技術は、地域で収集したアルミ缶や地元の企業で排出されたアルミ廃材──言わばあまり程度のよくないアルミでも使えて、そこから水素を取り出すことができるというのが一つのみそであると理解しておりますし、エネルギーの地産地消にもつながるとともに、水素というのは、御存じのように、燃やしても水しか出ないということですから、カーボンニュートラルを目指す上で有力な技術の一つと評価されています。  一方で、それを県の施設で大いに活用すればという御提案ですが、若干状況もありまして、活用するには水素ボイラーを購入するということが一つ必要ですが、従来のボイラーに比べると価格が約3倍であることが一つのネックになっているかと思います。また、県庁の施設の、例えば県庁舎、土木センター、厚生センターなどは防災の拠点の施設にもなっていますが、業務継続のため、災害時でも原材料が安定的に供給されることが不可欠であります。水素の安全な取扱い方法の確立が必要であるということなど、県の施設で活用するに当たっては、もう少しコスト面、あるいは安全面、管理面で超えるハードルがあるのではないかと考えております。そして、今後、水素をボイラーに安定的に供給し効率よく加熱する技術を確立されていくということなので、期待しておきたいと思います。  いずれにしましても、水素はカーボンニュートラルを進める上での大切なエネルギーだと言われておりまして、どう水素を作って貯蔵して運んで使うのかということ、いろんな企業で今、研究開発が進んでおります。アルハイテックさんもその中の有力な企業の一つとして、引き続き、県内企業でもあり、支援をできることは大いにしていきたいと考えます。 13 山崎委員 ありがとうございます。  私の聞いているところでは、従来ボイラーのノズルを交換することで使用が可能になるやに聞いておりまして、3倍の価格のボイラーが必要かどうかというところも、私ももう一度勉強をさせていただきたいと思います。いずれにしましても、富山県初の大変希望のある技術でございますので、県の施設で活用していっていただくことを心から希望したいと思います。  続きまして、富山県の薬用植物指導センターについて質問します。  富山県薬用植物指導センターでは、漢方薬のシャクヤクとトウキを約5ヘクタールの土地で栽培しています。今から4年前に新研修棟が整備され、シャクヤクの販売単価倍増のために乾燥設備が導入されました。今年の秋から乾燥設備を稼働させることになるのですけれども、薬用植物指導センターでは、現在は厚生部の職員が2名のみで、5ヘクタールの管理運営を窮屈ながらこなしております。  近年、高収益作物としても注目され、県内での作付も増加傾向にあります。この上、新たに乾燥工程の作業が増えるので、本来配置されるべき農業系研究員が平成19年度から不在となっていることから、早急に人員を確保する必要があると思います。木内厚生部長の所見を伺います。 14 木内厚生部長 御紹介いただきました薬用植物指導センターでございます。  薬用植物の栽培普及を図るため、栽培法に関する試験研究や栽培農家に対する支援等を行っております。御紹介もいただきましたとおり、平成30年度に新研修棟を整備いたしまして、そういった施設の充実も図ってきたところです。  近年、本県の栽培に適した付加価値の高いシャクヤクの品種の研究を進めております。協力の農家さんに育てていただくということで、いよいよ今年の秋に初の収穫があります。現在、その加工方法を検討するなど精力的に取り組んでおります。  御指摘のありました人員体制でございますけれども、センター長の下に研究員2名、職員1名の配置ということでありますが、農業職の研究員1名について現在欠員となっております。薬用植物の栽培・調製・加工方法の研究や農家の方への栽培指導を行う研究員には専門性が求められます。今後は、富山シャクヤクの栽培拡大に伴いまして、従来の栽培指導に加えて、収穫物の調製の指導でありますとか、生産物の品質評価等の業務の増加も見込まれます。農林水産部や関係団体と連携をしまして、必要な人員体制の確保に努めてまいります。 15 山崎委員 ありがとうございます。  当時は、薬用植物指導センターの改善に4億円ぐらいの資金が投入されたと記憶をしております。高収益作物等の希望、また富山県の柱である薬の産業にもつながってまいりますので、きちんと運営がなされることを希望させていただきます。  続きまして、さきの政策討論委員会では、魅力ある教育が議論され、学生にとって魅力的な選択肢の確保が必要などの意見が出されました。  このような観点からも、県内の大学と薬用植物指導センターの共同研究を推進することで、富山のくすりの伝統を生かした産学官連携による魅力的な研究を行う環境を学生に提供できることができ、ひいては、学生の県外流出の抑制につながることも期待されると思いますが、新田知事の所見を伺います。 16 新田知事 本県では、古くから薬用植物を原料とした和漢薬が配置薬の商品として用いられ、和漢薬を製造する製薬企業は今でも数多く存在をしております。  また、富山大学には国内で唯一の伝統薬学の研究所であります和漢医薬学総合研究所が設置されております。そして、「くすりのシリコンバレーTOYAMA創造コンソーシアムにおいても、生薬成分を用いた医薬品、機能性表示食品の開発研究への支援を行うなど、産学官連携の下で伝統医薬学の研究が進んでいます。  委員御指摘の薬用植物指導センターですが、薬用植物の栽培・調製などの研究を進めています。昨今では、富山シャクヤクの栽培普及に向けた研究を行い、富山大学和漢医薬学総合研究所との共同研究として、漢方製剤としての臨床効果を評価する研究などに参画をしています。  日本国内で使用される生薬の大半を中国に依存している中、県内で栽培された薬用植物を用いる製品が実用化されることは、薬都とやまのくすり文化の継承発展にも大きな意味があると思い、県としても取組を推進してまいります。  また、委員御提案の県内の大学と薬用植物指導センターとの共同研究をはじめ、伝統医薬学という本県の強みを生かした研究を促進することで県内大学の魅力向上にもつながるという御指摘はもっともだと思います。  こうした観点からも、指導センターの人員体制の確保に努めるとともに、研究者や学生にとって魅力ある産学官連携になる研究を推進してまいります。 17 山崎委員 長い歴史を持つ薬用植物指導センターでございますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  次に、教育について5問伺います。  政策討論委員会でも申し上げましたが、上市高校では上市町役場、地元企業と連携して、職業を知る会を開催しています。毎年、開催後にアンケートをとるのですが、生徒からは、駅と高校の往復だけで、上市町にこんなにたくさんの企業があるとは分からなかった、仕事の内容や働く意味がよく分かったなどの回答が寄せられています。  インターンシップに取り組むことで高校生に地元の企業を認知してもらい、県内での就職につながり、また県外流出の抑止につながるように、高校におけるインターンシップを促進すべきと考えますが、荻布教育長に所見を伺います。 18 荻布教育長 インターンシップは、自分の将来について考えるきっかけとなりまして、また、社会や職業に対する認識を深め、学ぶことの重要性にも気づくことができる有意義な機会と考えております。  県立高校では、地元企業の御協力を仰ぎながら、職業系専門学科はもちろん、普通系学科も含めて積極的に取り組んできておりまして、国の直近の調査結果でございます令和元年度のデータでは、本県の体験率は82.9%と、全国平均の40.3%を大きく上回っている状況にございます。  委員から御紹介をいただきました上市高校においては、役場や地元企業の皆さんから成るハッピー上市会の全面的な御支援を受けまして、希望者を対象とした職業を知る会や、2年生を対象としたインターンシップを実施しております。参加生徒からは、社会人の具体的なイメージが湧き進路決定に役立ったなどの前向きな感想が聞かれまして、学校も講師の派遣依頼や企業との連絡調整を地域の皆さんに担っていただけますことから、ハッピー上市会の積極的な御支援に対して深く感謝をいたしているところでございます。  県では、高校生のインターンシップをさらに推進するため、令和元年度より、社会へ羽ばたく17歳の挑戦事業に取り組んでおりまして、体験率が職業系専門学科より比較的低い普通系学科の生徒を対象に地元企業での体験活動などを実施する、そういった学校を支援しております。職業観や勤労観の醸成といったこととともに、大学などに進む子供たちが地元企業の理解を深めた上で、自分の進路や将来の就職の選択をできるようにするという狙いがございます。  今後とも、上市高校と地域との連携も参考にしつつ、県内での就職にもつながっていくよう、インターンシップや職業人講話など高校生のキャリア教育の充実に努めてまいります。 19 山崎委員 ありがとうございます。  先日、この職業を知る会が行われました。上市の名立たる企業さんが21社参加をしておられまして、ムヒさんや富士化学さんなど、大変有名な会社も参加されたのですが、実はその有名な会社さんの説明を聞く生徒が少ないんです。テレビで宣伝されているつるぎ恋月さんや、今のトレンドである福祉のケアをする事業所さんなど、そういったところに生徒が多く集まる傾向にあるわけであります。  生徒は、地元の企業にどんな企業があるのか、その価値、その企業がどんな価値を持っているのかということを知らずに職業選択をしたり進路決定をしているということがまざまざと映し出されていたと思うわけであります。私たちのこの富山県に、どんなすばらしい価値のある企業があるのかということを生徒が知るということの大切さを改めて感じた次第であります。  私たちも、地元の企業に関心を持ってもらえるように、どんな価値を持っているのか伝えることに今後も一生懸命取り組んでいかんならんというふうに思っております。  次に参りまして、地元企業には新商品開発や研究部門を持つ企業もございまして、クリエーティブな体験はわくわくしますし、インターンシップと同様、地元企業の認知度向上や企業での人間関係構築に役立ち、就職につながることも期待できます。  県立高校における教育の一環として、企業との共同研究を推進すべきと考えますが、荻布教育長に伺います。 20 荻布教育長 高校における企業との共同研究に取り組むメリットとしましては、校内で実施できるレベルを超えた最新の研究が可能になるということ、また、自身のアイデアが実社会で生かされることで生徒の学習意欲が高まるということ、また、活動を通して大きな充実感や達成感、わくわくという言葉もありましたが、そういったものが得られるといったことなどがございます。  そのため、職業系専門学科では、これまでも、例えば、スキンケア商品の開発や旅行情報誌の発行などについて、企業と連携して取組を行ってきたという例がございます。こうした学校からは、学習面の成果だけではなく、働くことそのものについて深く考えるきっかけになり、キャリア教育の充実にもつながったと聞いておりまして、企業との共同研究は非常に教育効果の高い活動というふうに思っております。  県では、こうした外部との協働による学びを広く普及するため、今年度から取り組んでおります、とやま新時代創造プロジェクト学習推進事業におきまして、地域社会や産業界、高等教育機関などと連携した課題解決型学習を行う学校を支援いたしております。  商品開発に取り組む学校については4校指定をしておりまして、SDGsを意識した工芸品作りに、企画から制作、発表までを一貫して企業と協働して取り組む学校もございます。これらの成果については、合同発表会を開催し、県内の教育関係者だけではなく、中学生やその保護者なども対象として広くPRしたいと考えております。  企業との共同研究などの活動は、生徒の地元企業への理解を深めますとともに、ふるさとに誇りと愛着を持ち、未来の富山県を支える人材育成にもつながると考えます。今後も、企業の御協力をいただきながら、積極的に推進してまいりたいと考えております。 21 山崎委員 ありがとうございます。  地元といたしましても、地元企業に働きをかけまして有機的な活動につなげていきたいと思いますので、今後とも御支援のほどよろしくお願いをいたします。  続きまして、近年、子供たちの遊びが大きく変化し、屋外や自然の中で遊ぶことが少なくなりました。自然の中では、自ら遊びを工夫したり、つくり出したりしながら没頭し、個性が磨かれ、また仲間との役割分担など、社会性も育まれたと思います。  富山市の東部小学校では、遊びの授業を取り入れ、子供たちが生き生きと高いエネルギーで集中し、力を合わせ、とても楽しそうでした。このような創造的な時間が体験型学習の時間として組み込まれてもよいのではないでしょうか。  コロナ禍や戦争など、突然大きく変化する時代をたくましく生き抜くには、文字どおり、真の人間力が必要になります。知識教育も必要ですが、これからの学校教育において、児童生徒の自主性や興味を引き出す体験型の取組を行うべきと考えますが、荻布教育長に所見を伺います。 22 荻布教育長 子供にとって遊びはそれ自体が楽しいことであり、また、友達と関わり合うことで、自己理解や創造性、表現力、また相手を尊重する態度、約束やルールへの気づきなど、社会で生きていくために必要な非認知能力の育成にもつながるため、遊びを通しての学びの効果というのは大変大きいと考えております。  このため、幼児教育においては、例えば砂遊び、色水遊び、お店ごっこなど、自然との触れ合いや友達との関わりを通した遊びの機会を多く設定し、その中で、興味・関心の高まりや豊かな感性、協調性などの育成につなげております。  小学校においては、幼児期の遊びを通して育まれてきたことを各教科の学習などに円滑に接続していくことが必要でありまして、委員御指摘のとおり、小学校においても遊びの機会を通じた学びを工夫することは大切と考えております。  県内では、地域の方を招いての昔遊びの体験や、自然のものを利用したおもちゃ作り、また、複数の学年合同でのオリエンテーリングや自由遊び、御紹介のありました外部講師を招いての遊びの授業を行って、学校教育の中に遊びの機会を積極的に取り入れる工夫をしている学校もございます。  こうした取組は、児童生徒の遊びの機会をつくることにつながり、幼児期から遊びを通して育まれた主体性や個性、創造力などをさらに伸ばすことにもつながると考えます。  県教育委員会としては、小学校における遊びの教育的効果を研修会などで伝えていくとともに、取組の効果などについて市町村教育委員会ともしっかり情報共有をするなど、各学校での工夫した取組の充実が図られるように支援をしていきたいと考えております。 23 山崎委員 ありがとうございます。  考えてみますと、自分の子育ては、子供と一緒に泥まみれになって遊ぶということが本当になかったなと思っております。今遊んでいる子供たちの姿を見ていると、本当に生き生きとして、自分の興味を引かれるところにどんどんチャレンジしていく、トライしていくという姿が見られるわけであります。これが社会全体の創造性につながっていくんだなということを最近つくづく感じるわけであります。自分の子供にはもうできませんけれども、孫が産まれたら積極的に外へ連れ出して一緒に遊びたい。我々大人がもう遊ぶということを忘れてしまってる。子供と一緒に遊ぶということがなくなってきて、このことも社会全体の創造性を牽引する力がどうなっているのかということを考えさせられる大きなポイントだと思っておりますので、私自身も楽しんでまいりたいと思っております。  続きまして、部活動の地域移行についてお伺いをいたします。  上市町においても、中学校の部活動の地域移行が、令和4年度は試行期間として、令和5年度からは実施することをめどに協議会での協議が重ねられています。  その中で、移行後に、友達同士で誘い合う機会の減少や、経済負担の増加から、生徒たちのスポーツをする機会の減少を危惧する声が上がっています。経済的要因で本来持っている才能に気づくことができないケースや、人口減少によってクラブそのものの継続が心配されるケースなども予想されます。  そこで、貧困など経済的理由に左右されることなく、これまでどおり、等しくスポーツなどにいそしむ機会が保障され、希望する道を諦めることのないよう、会費負担などについての支援が必要と考えますが、荻布教育長に伺います。 24 荻布教育長 部活動の地域移行が進みますと、新たに受入れ先のスポーツ団体などの会費や保険料などが生じまして、これまで以上に保護者の負担が増える可能性などもございます。経済的に困窮する家庭においては、部活動の地域移行後は、地域のスポーツ団体などへの会費の支払いが難しくなり、活動に参加できなくなるといったことなども懸念されることでございます。  去る6月6日に示された、スポーツ庁の運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言によりますと、家庭の経済状況などにかかわらず誰でもスポーツに親しむ機会を確保するため、こうした家庭への支援として、例えば、自治体による費用の補助や企業からの寄附による基金の創設などが考えられ、このような取組に対する国の支援方策について、実現に向け検討する必要があるとされております。  企業による支援策として、例えば、用具の提供や運営協力などがあれば費用負担が減少いたしますことから、県教育委員会では今年度、学識経験者や経済団体、関係団体の皆さんから成る地域部活動検討委員会におきまして、企業との連携方法や運営団体の費用負担などについて検討をすることにしております。  また、国において地域移行後の活動運営費などに必要な財政支援がされるよう、先月、議会の皆様と共に文部科学省に要望を申したところでございまして、引き続き働きかけをしてまいりたいと考えております。  今後とも、家庭の経済状況などにかかわらず、休日部活動の地域移行後もスポーツに親しむ機会が保障されるよう、国の動きを注視しながら取り組んでまいりたいと考えております。 25 山崎委員 ありがとうございます。  上市町はバドミントンが強くて、宇奈月町からわざわざ上市中学に通っておられる生徒さんもおられました。スポーツの力はそのくらいの求心力があるんだと思っております。
     一方で、全てのスポーツが地元に質の高い指導者がおられるわけではなくて、そうやって宇奈月の生徒さんのように、上市町からも──もうサッカークラブはないので、サッカーをするときにはほかの市町村に行ったりということになってくると思います。そうなると、そこまで通う時間とコストというものが当然必要になってくると思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思う次第であります。  続きまして、スポーツの振興には指導者の存在が大きく、よい指導者がいるチームに人が集まります。競技スポーツは言うまでもありませんが、楽しむスポーツにいそしむなど、児童生徒の居場所づくりのために見守る役割の方を確保するケースも出てまいります。  地域移行後の部活動指導者の手当等に関する国の支援、方策の検討状況と県の対応はどうか、荻布教育長に伺います。 26 荻布教育長 部活動指導者の手当などに関する国の支援方策の検討状況でございますけれども、去る6月6日のスポーツ庁の検討会議の提言がございまして、それを受けたスポーツ庁長官の発言といたしまして、令和5年度からの地域移行に向け、実践研究の事例集の作成、受皿となるスポーツ団体の体制の整備などを進めると言及されておりますけれども、具体的な支援の内容についてはまだ明らかになっていないところでございます。  国は現在、休日の部活動の地域移行に向けまして、指導に当たる地域人材の確保や費用負担の在り方など、様々な課題に総合的に取り組むために、全国各地域において地域部活動推進事業による実践研究を行っておりまして、本県でも今年度、県内8市町で実践研究を行っております。県教育委員会ではその成果と課題について、地域部活動検討委員会において検証を行っていくことにしております。  また、国はこれまでも、中学校における部活動の指導や、大会引率などを担う部活動指導員の配置を支援してきておりまして、県教育委員会も国と共に支援をし配置してきております。  部活動指導員は、地域移行後も部活動指導の担い手としての役割が期待されますことから、県では、部活動指導員のさらなる拡充配置のための財政支援措置を国に要望しているところでございます。  今後とも、部活動指導者の手当などの検討も含めた国の動きを注視しながら、生徒が地域においてスポーツに親しみ取り組む機会を将来にわたってしっかり確保できるよう努めてまいりたいと考えております。 27 山崎委員 ありがとうございます。  スポーツは、若い頃に自分の意思でつらいところにチャレンジしていく、そういう大事な人格形成に関わる部分だと思いますので、一緒になって頑張ってまいりたいと思います。  それでは、最後に安全・安心について4問伺いたいと思います。  空き家、危険空き家についてであります。  所有者がいなくなって、長期間、親族とも連絡が取れなくなるなど、危険空き家は増える傾向にあります。空き家再生等推進事業の除却事業タイプについて、所有者不明で地方公共団体が事業主体となる場合は、国5分の2、地方公共団体5分の3のスキームとなっていますが、現状、富山県の支援がない状況であります。  危険空き家の発生する場所は市町村ですが、その支援は県民の安心・安全につながります。危険な空き家撤去に対する支援を拡充していくべきと考えますが、市井土木部長の所見を伺います。 28 市井土木部長 国の空き家再生等推進事業により、所有者が不明でやむを得ず市町村が空き家の除却を行う場合、国が経費の5分の2について支援を行っております。  この国の支援は、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく計画の策定が要件とされているため、県内市町村からは、計画策定のいとまなく早急に対応が必要な空き家の除却に対する県単独の支援制度を求める要望が出されました。  この要望を受け、県では、市町村への支援として、法律が施行された平成27年度に、市町村が国の支援を受けずに代執行により空き家の除却を行った場合、その経費の一部を県が補助する制度を創設し、昨年度までの7年間に上市町を含む5市町において活用をいただいているところでございます。  委員お尋ねの、市町村が代執行により空き家の除却を国の支援制度を活用して行う場合における県の上乗せ補助につきましては、こうした経緯もあり、本県では実施しておりませんが、全国では、昨年度時点で14都県で制度化されております。県内の一部の市町村からは、5分の3という裏負担が大きい、解体費の高騰などの影響で財政的な負担が増えているとの御意見を伺っており、県としても課題であると認識してございます。  今年度開催する富山県空き家対策官民連絡協議会等の機会を通じて、市町村や民間団体等に実情を伺いニーズを把握し、市町村が行う空き家の除却に対する県の支援の在り方について検討してまいります。 29 山崎委員 ありがとうございます。温かい御支援を何とぞよろしくお願いいたします。  続きまして、空き家情報データベースについて伺います。  移住・定住を希望される方は、空き家に高い関心を持っておられます。先日移住が決まったケースでは、地元の区長さんが町内の心当たりを探され、半年ほどかけて8軒目にやっと見つかりました。もし空き家のデータベースがあれば、もっと早く見つかっていただろうと思われます。  現在公表されている空き家情報データベースのほとんどは不動産業者さんが運営するもので、商業ベースに乗る物件しか掲載されていないのが実情です。上市町では0円空家バンクというすばらしい取組もしていますが、さらなる空き家活用を進める上では、行政が主体となり、商業ベースに乗らないものも含めて、できるだけ多くの空き家を掲載するデータベースの構築が不可欠と思います。  空き家情報データベースについて、県としての取組や市町村の取組への支援についてどのように考えておられるのか、市井土木部長に伺います。 30 市井土木部長 空き家情報データベースについて、市場性が高く売買がしやすい、いわゆる商業ベースに乗る物件の多くは、委員御紹介のとおり、民間の不動産会社等が運営する情報サイトに掲載され、取引が行われております。  このため本県では、全ての市町村において、立地条件等の理由により市場性が低く商業ベースに乗りにくい空き家の流通促進を図るため、市町村空き家バンクを設けております。これは、市町村が職員の直営や外部委託などにより空き家の所有者等から相談のあった空き家を調査し、その空き家の情報をデータベースに登録するとともに、空き家の購入希望者に対しても、このデータベースを機に物件の紹介などを行うものでございます。  さらに、上市町においては、無償譲渡の空き家を取り扱う先進的な0円空家バンクも設けられているところです。こうした市町村の取組を支援するため、県では、県外からの移住希望者等に県内全市町村の空き家情報を一元的に提供できるよう、県のホームページの移住・定住促進サイトに市町村空き家情報バンクのページを開設しているところでございます。  また、空き家の所有者に対するバンクへの登録手続や、空き家の購入希望者に対する物件情報の入手方法などについて相談に応じる空き家コーディネーターを、県が経費の一部を負担することにより富山県宅地建物取引業協会に配置していただいているところでございます。  県としては、今後とも、先ほどの空き家対策の協議会等において先進的な取組を情報共有するなど、市町村等と連携し、空き家の流通促進が図られるよう努めてまいります。 31 山崎委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  委員長、資料の配付と提示を許可願います。 32 武田委員長 許可いたします。 33 山崎委員 お配りしている写真は、馬場島の下流1キロほどにある早月川の栃原堰堤付近で発生している土砂崩れの現場写真であります。川のそばまで土砂がせり出しており、このまま放置すると、最悪の場合は川をせき止めてしまうおそれがあると危惧しています。早急に撤去作業を進めるとともに、土砂崩れ発生源の対策も行うべきと考えます。  土砂撤去作業については市井土木部長に伺い、続いて土砂崩れ発生源対策については堀口農林水産部長に伺います。 34 市井土木部長 早月川の栃原堰堤付近では、上流から順に栃原堰堤、栃原2号堰堤と続く2つの堰堤の中間部において、本線に合流する支流の沢から流出した崩壊土砂が早月川に沿った延長約80メートルにわたり堆積しております。この崩壊土砂は1970年代の航空写真で確認できることから、それ以前に発生し40年余りが経過しているのではないかと考えております。  県ではこの現場に対し、毎年、出水期前などに定期的に監視、点検を行っております。今年度も5月、6月と実施しましたが、現在のところ、土砂が川幅の一部を阻害はしているものの、早月川の安全の流下には影響がないことを確認しております。  また、当該堆積箇所の下流の早月川には土砂災害対策として直下にある栃原2号堰堤が、さらにその下流に12基の砂防堰堤、床固工が延長10キロ以上にわたって要所要所に配置されているところでございます。このため、緊急的な土砂撤去工事が必要な状況ではないものと認識してございます。  北陸地方も梅雨入りし、本格的な出水期を迎えていることから、早月川の安全な流下を確保するため、引き続き堆積土砂や下流の砂防堰堤の状況について定期的な監視、点検を行い、警戒に努めてまいります。 35 堀口農林水産部長 私からは、土砂崩れの発生源対策についてお答えをいたします。  土砂崩れの発生源となっております崩壊地は40年以上前に発生したもので、被害の拡大が見られず、早月川の安全な流下にも支障がないことから、これまで対策工事は行われてこなかったものと推察をしております。  昨年度、地元上市町から当該地での治山事業の要望がありましたので、現地の状況を確認するため、ドローン等による調査を実施しました。その結果、早月川の右岸斜面約500メートル上方に、幅100メートル、長さ300メートルの崩壊地があり、この崩壊土砂が流下して傾斜が緩くなった場所に堆積していること、崩壊斜面は比較的硬くて緻密な花崗岩が露出しておりまして、一部緑化も進んでいることが確認をされました。  また、崩壊後に撮影されました1970年代の国土地理院の航空写真と一昨年に実施した森林の航空レーザー計測時の航空写真を比較しましたが、崩壊地の拡大などは認められなかったということでございます。発生から40年以上が経過し、現在、新たな崩壊等は確認されず、一部で自然植生も見られるなど、崩壊斜面は安定しているものと判断されますことから、現時点では発生源の対策工事は必要ないものと考えております。  農林水産部といたしましても関係機関と連携いたしまして、新たな崩壊地の拡大や土砂流出がないか、引き続き経過観察してまいります。 36 山崎委員 もう一回崩れますと、完全に川を塞いでしまうのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  最後に、女性警察官の活躍について伺います。  山岳警備隊に初の女性隊員が配属されました。山ガールも増えたので、女性隊員の活躍の場も多いのかもしれないと頼もしく思っております。  山岳警備隊の例は、警察とすれば一部ですが、様々な場面で女性警察官の活躍の機会があるだろうと推測します。女性警察官の割合の推移と職域拡大に向けた考え方を杉本警察本部長に伺います。 37 武田委員長 山崎委員。持ち時間が終了しましたので、質問を打ち切っていただきたいと思います。  山崎委員の質疑は以上をもって終了いたしました。        針山健史委員の質疑及び答弁 38 武田委員長 針山委員。あなたの持ち時間は60分であります。 39 針山委員 おはようございます。  先ほど山崎委員のほうからありましたが、私からも、上市町のロキテクノ富山さんの北信越代表としての都市対抗野球の出場、心よりお祝いを申し上げたいと思います。  実は、都市対抗野球北信越最終予選の準決勝でロキテクノ富山さんに敗れたのが、地元の伏木海陸運送野球部でございます。地元も大変期待しておりましたけれども、残念な結果に終わりまして、地元も本当に捲土重来ということで、また次回を楽しみにしておりますけれども、私としましては、野球の敵は質問で取ると、山崎委員以上の質問で、地元とまた富山の発展、繁栄に貢献していきたいと思います。  我が国の景気や世界の景気は、梅雨入り同様に、じめじめしてきたような気がしております。新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻が長期化していることなど、要因はいろいろあるかと思います。  原材料高、また物価高、エネルギー価格は高止まり、さらに上値を追うような状況にもあります。今朝のニューヨークダウの終値は2万9,927ドル、日経平均株価の昨日の終値は2万6,431円、今日はまだまだ下げているそうでございます。ともにここ1週間で急落しております。  また、物価上昇を抑えるために金利を上げようとするアメリカの金融政策に連動して、円ドルの為替相場も28年ぶりの円安水準、近いうちに140円を超えるのではないかというアナリストもおります。一昔前は円安というのは歓迎された節もありますけれども、今は高いとか安いとかというよりも、急激な変動が非常にリスクになってきているようであります。  今回の円安が及ぼす県内経済、企業や県民の生活への影響についてどのように捉えているのか、新田知事にお尋ねします。 40 新田知事 円相場は本年の3月頃から急激に下落を始めまして、原油や原材料費高騰の要因となっていましたが、この15日には1ドル135円台の後半となり、約24年ぶりの円安水準を更新をしました。黒田日銀総裁も、急速な円安の進行は先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするなど、経済にマイナスと言われました。  針山委員がおっしゃるように、伝統的に輸出立国の我が国にとって円安はプラスと思われていたわけですが、大きな転換点だと思います。  その中で、本県の産業においての円安ですが、機械や部品を輸出する企業にとって、海外における価格競争力の向上、為替差益による利益の増加が期待されるほか、海外からの観光客の増加やインバウンド消費によるプラスの面の効果も期待されます。  しかし、現在、新型コロナにより、中国による供給制約、あるいは日本への入国規制が続いているほか、ウクライナ情勢も受けたエネルギー価格の高騰もあり、当面、このプラス効果は、県内では限定的ではないかと考えております。  一方で、アルミ、医薬品、プラスチックなどの原材料を輸入している企業では、原材料価格の上昇や燃料価格の高騰など、マイナス面の影響が既に生じています。  また、生活面では、小麦などの輸入食材や光熱費等の値上がりということで、家計にとっても大きな影響があると考えています。  生産性の向上、賃金引上げ、消費活性化の好循環、こういったときこそこういったものを持続的にするため、県としても、6月補正予算案に、これにつながる事業、この席でも何度も出ておりますが、富山県中小企業ビヨンドコロナ補助金、また、富山県地域内消費喚起プロジェクト支援補助金、いわゆるプレミアム商品券の発行事業、あるいは、とやまプレミアム食事券の発行、それから、富山県賃上げサポート補助金などを盛り込んでおります。可決いただきましたらば、速やかな執行に努めて、県内経済の下支えをしてまいりたいと思います。 41 針山委員 なかなか個人であったり、ちょっとした団体でその為替相場というのを動かすわけにはいかないんですけれども、また県としてもしっかりと注視していただくとともに、対策も打っていただきたいと思います。  今月10日に、政府は外国人観光客の受入れの拡大を実施しております。旅行会社の方にお話を聞きますと、円安で外国人の訪日需要が非常に高まっているそうであります。  さきの本会議で八嶋県議からクルーズ船の質問もありました。今年の夏に、伏木富山港へ寄港が予定されていた大型の外国クルーズ船ですが、どうも運航が中止になったというニュースがあるようでございます。日本発着史上最新最大の船ということで、地元も大変に期待をしておりましたが、残念であります。  ただ、今後は感染症対策に万全を期した上で、外国人の観光地などの受け入れ体制の整備を進める必要があると考えます。  一方で、外国人観光客頼みだけではいけないわけでございまして、今議会では、地域経済活性化に向けて、プレミアム商品券発行事業とイベント事業を対象とした富山県地域内消費喚起プロジェクト支援補助金として5億円が提案されております。  昨年の9月議会の補正予算で提案された富山県消費喚起プロジェクト補助金の後継事業だと認識をしております。  さきの本会議で武田委員長も質問されておられましたが、昨年度の事業実績額は約3億2,800万円との答弁だったと記憶しております。重複するかとは思いますけれども、昨年度の補助金を活用した事業実績──補助実績であったり、主な事業内容、経済効果など、もう少し詳細に、そして今年度の利用見込みについて、中谷商工労働部長にお伺いいたします。 42 中谷商工労働部長 今お話がありましたように、昨年度の補助金でございますが、プレミアム商品券発行等事業として13市町の団体から21件、イベント事業として10市町の団体から21件の申請があったところでございます。  主な事業内容といたしましては、プレミアム商品券発行等事業では、独自の地域通貨やポイントカードを活用した事業、キャッシュレス決済サービス事業者と連携した事業、また、イベント事業では、QRコードやLINE公式アカウントを活用したデジタルスタンプラリーなど、各地域の実情に応じて、創意工夫ある事業が実施されたところでございます。  こうした様々な取組について、キャッシュレス決済、それから地域資源活用の促進なども含めた経済効果を、一定の基準をもって定量的に算定するというのはちょっと難しいのでありますが、実施団体からは、売上げや客単価が上がった、来店者数が増加した、新たな顧客獲得につながったといった、大変好評であったという声を多数いただいておりまして、相当程度の事業効果があったと考えております。  県内の商工団体からは、会員などからの要望も多く、昨年に引き続き実施をしたい、他の団体等と連携をして実施をしたいといった御要望をいただいているところでございます。  また、複数の自治体において、県事業を活用した上乗せ補助等について検討している旨の報道もなされているところでございます。  昨年度は9月補正予算について議決をいただいたのですが、今回は実施期間が6月補正ということで、議決をいただければ実施可能期間が長く取れるということを踏まえまして、より多くの団体に本事業を効果的に活用いただきまして、各自治体や団体で独自に実施される事業とも併せて、地域経済の活性化につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。 43 針山委員 今年度の事業予算額は、昨年の事業から増額されております。  昨年度のプレミアム商品券事業については20%のプレミア、さらに、今ほどありましたけども、市町村の補助を受けて30%のプレミアがつく商品券もありまして、発売前から長蛇の列をつくって2時間で売り切れたとか、高い倍率で抽せんとなったケースが相次いでおりました。  プレミア商品券の補助限度額が、前回は、複数商工団体枠で5,000万円、単一商工団体枠で2,000万円、複数商店街枠で500万円、単一商店街枠で200万円と、規模を考慮してカテゴリーで差をつけるということは理解できますけれども、例えば、商店街の枠でも希望とやる気があれば補助上限を引き上げてもよいのではないかと。一度事業を経験したことで、ある程度の販売予測もできるし、昨年度よりも事業期間が長く確保できることから、柔軟で弾力的な、意欲のある地域に頑張ってもらえるような対応をすべきであると考えますが、中谷商工労働部長にお伺いいたします。 44 中谷商工労働部長 昨年の状況でございますが、実際にプレミアム商品券発行等事業に取り組まれた商店街、ショッピングセンターは13団体ございまして、うち6団体がそれぞれ2団体ずつ、3つの連携体で取り組まれました。さらに、そのうち2つが地元の市から上乗せ支援を受けられたところでございます。  今、御説明がありましたように、連携しますとプラス分の増額があるということですが、この事業は、地域資源の活用を促進して地域経済の活性化を支援するという事業でございますので、ぜひ市町村からの御支援も期待をしているというところでございます。  もう一つは、先ほども申し上げたところですが、前回は9月補正予算であったために、今回は実施可能期間が長くなります。今議会に提案されておりますプレミアム食事券の事業、それから、各市町村によってまだ独自の事業が審議されているところであり、こういった事業について、一定の期間がございますので、地域の消費喚起効果がうまく継続、または、一緒にやることによってより高い効果が出るよう、実施タイミングを調整していただくことも効果的ではないかと思っております。  それから、各商店街ごとに構成店の業態が様々で、商圏人口等を客観的に把握するということは難しいという中で、より多くの商店街に取り組んでいただくきっかけとするということを目的とした事業でございますので、その上限額を個々の希望に応じて増額をするということについては難しいと考えておりますが、募集に際しましては、実情を丁寧にお聞きしまして、商工団体と連携してやると上限額が上がるとか、それから、市町村でも地域活性化のためにいろいろな上乗せ支援というものが検討されているということを踏まえて御協力を検討いただくなど、取組の実現に向けて御相談をしてまいりたいと考えております。 45 針山委員 今の枠組みの中でうまいことやれという話なんだと思いますが、前回のプレミアム商品券の業種的な利用率をお聞きしますと、飲食店がちょっと高かったというようなお話も聞いています。  先ほど言われたとやまプレミアム食事券の発行も同時に予定されておられまして、飲食店だけにその支援が偏るようなことにならないような、またそういった対策なり、配慮なりいただき、いろんな業種に行き渡るようにまたお願いしたいと思います。  観光需要など回復支援事業として国のGo To トラベル再開まで、県民向けの宿泊割引に8億5,000万円が提案されております。政府も来月前半から、観光キャンペーンの全国拡大も検討しているようであります。  とやまプレミアム食事券の販売も予定されておりますし、行事やイベント等の復活の傾向も考えますと、今後の人流の増加は必然であります。  社会経済活動の活性化に向けて、PCRなどの検査のニーズが高まることも想定されることから、検査体制を整備しておく必要があると考えます。  現在のPCR等検査無料化事業の期限が今月末に迫る中、現在の利用状況及びそれを踏まえた7月以降の対応について、木内厚生部長に所見をお伺いします。 46 木内厚生部長 本県では、国の交付金を活用しまして、これは新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の検査促進枠といったものがございます。  昨年の12月から検査無料化の事業を実施しております。これがちょっと複雑ですけれども、検査無料化事業の中で2つの事業に分かれておりまして、1つ目は、原則ワクチン3回目接種を終えていない無症状の方を対象としまして、飲食やイベント、旅行、帰省に際して必要な検査を無料化とする事業、これをワクチン検査パッケージ・対象者全員検査等定着促進事業と言います。  もう一つは、感染の拡大傾向にある、そういうときに感染不安を感じる無症状の県民の皆様への検査を無料とする事業、一般検査事業と申します。  この2つの事業はこれまで12月から実施をしてまいりまして、6月16日現在、県内の225の薬局、医療機関等におきまして検査ができるという体制になっております。総合検査件数は、速報値ですけれども、累計9万4,387件、1日当たり約550件の検査がこの無料化で実施されたということでございます。  御指摘ありましたとおり、これまで順次延長されてきましたけれども、両事業とも期限は現在6月末までとされてきたところでして、御指摘のとおり、今後、夏休み期間などそういったことで人の移動や交流の機会が増えるということが想定をされますことから、県から全国知事会等を通じて期間の延長を国に要望してまいりました。  ただいま定着促進枠につきましては、この6月末までの期限を8月末まで延長するというような方針が示されました。残るその一般検査事業につきましても、引き続き、期限の延長を要望してまいりたいと考えております。 47 針山委員 もう一回確認ですけど、一般検査の分はまだ分からないということですか。
    48 木内厚生部長 はい、一般検査事業につきましては、今、6月末までとされておりまして、延長するということについて、引き続き、国に要望してまいりたいと思います。 49 針山委員 安心・安全な経済活動に向けて、やはり一般検査のほうもぜひ延長していただくように働きかけていただきたいと思います。  続きまして、県内の海岸で外国語のケースに入った注射器など危険な漂着物が打ち上げられております。県のホームページでも氷見市で152本、高岡市で100本など注射器の漂着状況を投稿し、注意を促しています。  私も先日、地域行事の一環で海岸清掃を行った際に、幾つも目にしましたし、拾ってもまいりました。  委員長、資料の掲示をお願いします。 50 武田委員長 何でしょうか。本物であれば許可します。 51 針山委員 これが私が海岸で拾ってきました流れ着いた注射器でございます。これはもちろん本物です。  注射器には薬物は含まれていないようですけれども、一方は注射針がついたものでございまして、やはりこういうものが海岸に落ちているということは気持ちのよいものではありません。  海岸に打ち上げられているものももちろん危険ですけれども、海中にとどまっているもの、そして、砂浜に埋没しているものも多くあるわけでございます。  本格的な海水浴シーズンも近づき、また、1年を通してマリンスポーツを楽しむ方もおられるわけでございます。県民の安全・安心の確保が求められる中、漂着物などの安全対策にどう取り組むのか、廣島生活環境文化部長にお伺いいたします。 52 廣島生活環境文化部長 本年2月頃から、日本海沿岸地域で、今ほどの注射器などの漂着が確認されております。  県では、直ちにこの情報をホームページに掲載しまして、注射器を発見した場合は、触れずに、県または市町に連絡してほしいという旨をホームページに掲載しておりますので、また取扱いについてはよろしくお願いいたします。  あわせまして、海岸管理を担当する県土木センターの職員が定期的に海岸パトロールを行い、また、高岡市、氷見市などでも海岸への不審物漂着の確認作業に当たっておられます。  4月以降、県内で見つかったわけですが、パトロールで発見されたもの、また、漂着の情報が寄せられて回収したものなど、昨日時点で259本の注射器の漂着が、県西部の3市の海岸において確認されております。これにつきましては、県または市において回収をしているところでございます。  県内の海岸への注射器の漂着は最近も報告されておりまして、今週の月曜日にも氷見のほうでは30本ほど見つかっているというような状況でございます。  海水浴シーズンに向けまして、一層の対応が必要でございます。このため、今後、沿岸市町と連携の上、パトロールを強化していきますほか、看板を設置しまして、不審物に触れないことに加えまして、不審物が海中に漂っているおそれ、また、砂浜に埋没しているおそれ、委員御案内のとおりでございます。そういったことにつきましても、利用者の方や海水浴場の設置者の方にも注意を促していきたいと思っております。  また、不審物を発見されました際は、県または市町に連絡することも改めまして呼びかけるなど、利用者の安全・安心の確保に努めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。 53 針山委員 部長、これは、すぐにお渡ししたほうがいいですかね。 54 廣島生活環境文化部長 よろしくお願いします。 55 針山委員 では後ほど、回収をお願いいたします。失礼いたしました。  それでは、公共交通についてお尋ねをしたいと思います。  こういった注射器を拾った海岸に沿って走っているのがJR氷見線であります。  5月27日に第4回の城端線・氷見線LRT化検討会が開催されました。今年度は、これまでの需要予測調査などを経て、LRT化に係る事業費についての調査を実施するとのことでしたが、並行して、LRT以外の交通モードについても概算整備費などを調査することが発表されました。調査期間は令和4年12月28日までと。  私は、2月議会で県庁が今年新たに導入する部局横断的なプロジェクトチームでLRT化議論を進めていただけないかとお願いをしましたが、交通政策局を新設するんだと、迅速に専門的に対応する、そういったような答弁があったかと思いますが、調査が大変に遅れる、そんな見込みであります。  例えばという話になりますけれども、LRT化検討会でなかなか当面方向性が出ないのであれば、地域公共交通計画の策定を目指している地域交通戦略会議に、ある程度検討を委ねればどうかと思いますが、新田知事に所見をお伺いいたします。 56 新田知事 委員おっしゃるように、先月の27日に開催した第4回の城端線・氷見線LRT化検討会では、現在実施しているLRT化の事業費調査の実施状況について報告をしました。また、新たに実施する電化のLRT以外の交通モードの検討調査の実施も決定をされました。  LRT化などの検討、議論を急ぐために今年度実施する調査は、現在実施している事業費調査と並行して実施をいたします。  先般、1回目を開催しました地域交通戦略会議では、城端線・氷見線のLRT化の検討に詳しい有識者の委員から、今議論になっている城端線・氷見線のLRT化のような判断を急がなければならない事案は、計画づくりと並行して取組を進めていく必要があるのではないかとの御意見をいただきました。  県としましては、LRT化検討会における検討、議論が令和2年6月から行われていることも踏まえまして、LRT化の事業費調査と電化のLRT以外の交通モードに係る調査の結果の取りまとめをできるだけ早期に進めます。  今後、検討会において、本年度末までに方向性を示した上で、地域交通戦略会議においても議論が進められるよう、沿線市、JR西日本と共に検討を加速化してまいります。 57 針山委員 今、知事から並行して話し合うんだという答弁だったかと思いますが、地域公共交通計画の策定というのは、令和6年6月頃をめどにお聞きしています。  ゴールが一緒だという認識はとてもないですけれども、もともと地域公共交通計画とLRT化の話が別々に進むことで、その整合性というのが非常に疑問視されていたと思うんです。  各論でいろいろ話をして、最終的な交通計画の総論の中でそごが出るというのは、やはり議論として非常に時間ももったいないですし、いろいろな有益な議論ができないのではないかなと思っているのですけれども、地域公共交通計画と今の城端線・氷見線の議論の整合性について、もう一回、知事にお尋ねさせていただきたいと思います。 58 新田知事 言うまでもなく、城端線・氷見線のLRT化の検討会は先行して進んでいることでありまして、順を追ってやってきました。そして、今も調査すべきことをするという、また、その調査結果が出ていない現時点で、その方向性を示す時期をお答えするのは難しい状況でありますが、先ほども申し上げたように、ある専門家の委員の方からは、JR城端線・氷見線のLRT化のように判断を急がなければならない事業については、この地域交通戦略会議での計画づくりと並行して取組を進めていく必要があるということを言われました。そんな方向でやっていきたいと考えています。 59 針山委員 ちょっと分からない部分ありますけども、判断を急いでいただけるということで理解したと思っております。  6月2日に開催された地域公共交通計画策定に向けた第1回の地域交通戦略会議の結果を受けて、知事のコメントを翌日、新聞で見させていただきました。収支採算性だけでなく、利便性向上を重視するんだと。  会議で話し合われた地域交通戦略のポイントをまとめた資料には、今後の検討事項として、収支採算性や事業者への経営支援の視点にとどまらない目標の設定(県民のウエルビーイングの向上につながる目標)と書いてありました。  どんな乗り物ならウエルビーイングにつながるのか私もよく分からないのですけれども、そもそも少子高齢化であったり人口減少、地域内の交通事業者の経営環境の悪化であったり、行政の財政負担増の問題があっての議論だと思っています。  そして、利便性向上に向けては、これまで富山県地域交通活性化推進会議や、個々の路線では高山本線強化推進同盟会、あいの風とやま鉄道利用促進協議会、城端・氷見線活性化推進協議会など、いろいろ今まで会議体も開催されてきておりますけれども、そこで今まで一体どんな話がされてきたんだろうかと。利便性向上に向けてどんなことに取り組んできたんだろうかと思うわけでございます。利便性の向上を追求することが収支にマイナスであるという考え方になっていないのかと懸念するわけであります。これまでに真に必要な利便性向上策を講じなかった結果、収支悪化につながって、現在の状況に至っているのではないでしょうか。利便性向上と収支改善は相反するものではありません。  地方の公共交通の収支採算は、確かに期待しにくい。利益を上げようとか、収支がとんとんだとか、そんなわけにはなかなかいかないのは理解しておりますけれども、公共サービスとして、行政の財政負担はある程度仕方はない。ただ、財政負担が伴う以上、採算面を見据えた現実的な検討が必要だと思っております。  地域公共交通計画について、そして、城端線・氷見線をはじめ、公共交通の維持確保に向けてどのような観点を重視し、策定を進めるのか、新田知事の認識を伺います。 60 新田知事 公共交通の維持確保につきましては、計画策定に当たって、利用が減少する、収支が悪化する、さらにサービス低下する、さらに利用が減るという悪循環に陥りがちでありますが、そうではなくて、利便性を向上して利用者が増加し、交通事業者の収益改善が図られ、さらに利便性を高める、投資もできるという、そういうような好循環に持っていき、持続可能な公共交通の確保の観点を重視して検討を行う必要があると考えています。  過去のことはともかく、今、もしかしたら針山委員が御指摘のような嫌いもあったのかもしれませんが、例えば、城端線・氷見線ではこれまでも県と沿線市が連携して、増便のトライアル、また車両のラッピング、べるもんたの魅力向上への支援、このような利用者の増加対策を実施してきました。  コロナ前までは、他県のJRローカル線では利用が近年減少する中で、城端線・氷見線は大変健闘してきたと私は理解をしています。  また、富山市の高山本線につきましても、富山市が増便などの取組を長く行ってまいりました。それにより、利用者数の維持が図られてきました。  このようなことにヒントがあると思います。こうした実例も踏まえまして、今回の新しく始めました富山県地域交通戦略会議、ここには4つの部会をセットしております。  サービス連携高度化部会、これはMaaSなどサービス連携によって需要を掘り起こせないか、刺激できないか。  鉄軌道サービス部会、これはまさに鉄軌道サービスの維持、改善に向けてどのような方策が考えられるのか。  それから、地域モビリティー部会、これは関係者の共創により、移動を確保する、朝日町で行われておりますノッカルのような事例がありますが、そんなことを追求してまいります。  それから、交通ワンチーム部会、行政と事業者による実務協議。この4つの部会を傘下で回しながら、総合的に富山県の地域交通の在り方について、縮小均衡あるいは悪循環に陥らないようなやり方で考えていくという立てつけであります。 61 針山委員 これをやったらあれをやったら経費が抑えられるという考え方ではなくて、こんなことあんなことをやったら利用者が増加をするんだという利便性の高いニーズを、ぜひ捉えていただきたいと思います。  城端線・氷見線の沿線市の行政の方と話す機会もあるわけでございます。LRT化についての考え方をお聞きしますと、ほとんどの方が、「うちの町、どれだけお金出さんなんかの」とか、「高岡市にでかいと出してもらわんなん」と、そんなような話をよく聞くわけでございまして、財政負担とか、財政割合というのが一番気になるんだなと思っております。  先日、自民党の議員会で立ち上げた、公共交通を考えるプロジェクトチームで、米原委員を団長に滋賀県の近江鉄道を視察してまいりました。存続のために24年度から上下分離方式を導入すると、その経緯や過程を学んでまいりました。  滋賀県や沿線10市町などから成る法定協議会を設置し、クロスセクター効果の算出による検証にて、存続させるという関係者の共通認識を持てたことが議論を進める大きな要因になったというふうに感じております。  委員長、資料の配付と掲示をお願いします。 62 武田委員長 許可いたします。 63 針山委員 クロスセクター効果について、少し簡単にですけれども、御説明をしながら話を進めたいと思います。  鉄道の必要性や効果を定量的に把握することを目的として、交通分野だけでなく、多様な分野も含めた鉄道の有する多面的な効果を算出するものであります。鉄道を維持した場合の財政支出と、廃止した際の代替交通確保に必要な財政支出を比較、また、検証するものでございます。  近江鉄道線を廃止にして、医療、教育、建設などの多様な分野で代替施策を実施した場合の費用は年間19.1億円以上となり、行政の財政支出額と事業損失額の合計6.7億円を大きく上回ることが確認できたそうでございます。これを見てもらえば、細かいところはあれですけども、一目瞭然で、近江鉄道を維持存続させるほうが効果的だといった結果が出たそうでございます。  氷見線・城端線の議論、そして、地域公共交通計画の策定に当たっては、公共交通を維持するためのあらゆる角度から費用対効果を踏まえる必要があると思いますが、田中交通政策局長に所見をお伺いいたします。 64 田中交通政策局長 地域公共交通計画の策定に当たりまして、国においては、地域公共交通計画等の作成と運用の手引き、これが作成、公表されております。  この手引には作成の手順、考え方が示されておりますが、実際の計画づくり等に当たりましては、当然、各地域の状況や特性に応じた対応を心がける必要があるため、参考として示されております。  今ほど委員御指摘のクロスセクター効果については、この手引の中にも記載がありまして、地域公共交通の確保充実により、地域経済の振興や福祉、教育、環境などの他の行政分野における公的負担額を間接的に軽減している効果があると考えられるということで、今、手引のところに記載がございます。  委員から御紹介ありました近江鉄道線のクロスセクター効果につきましては、鉄道は医療、商業、観光、教育など様々な行政分野にわたり、有形無形の多面的な効果を有していると。近江鉄道が廃止された場合に、追加的に必要となる分野別の代替費用は、今、御説明ありましたけれども、約19億円と見込まれるという結果が示されまして、他の調査結果も含め、法定協議会において全線存続の合意に至ったと承知しております。  今回策定いたします本県の地域公共交通計画は、計画の区域が県内全域と大変広範でありますが、将来の公共交通を考えるに当たりまして、その果たす役割、効果を幅広い視点で考えることは大切なことであると考えております。  今後、どのような手法で効果を把握することが適切か、地域交通戦略会議の有識者の委員の方々の御意見も伺いながら検討を進めてまいります。 65 針山委員 ぜひ関係市町村には、今ある自分の財布も大事ですけれども、将来にわたってどういった方法が適切なのかということを考えるいい機会になってもらえればいいなと思いますし、氷見線・城端線については、近江鉄道よりも輸送密度が高いこともあります。細かいところは私は計算していませんけども、絶対に廃線にするよりも存続させたほうが沿線市にとっては有利ではないかと思っております。ありがとうございました。  先月、5月21日に伏木曳山祭が開催されました。私も今年から伏木曳山祭実行委員会の会長を仰せつかっております。2年間中止しておりました余興「かっちゃ」も実施いたしました。新田知事にも、後日、盛況でよかったですねということで声をかけていただきましたし、ほかの県の幹部の方、また、県議の方にも何人かにそれぞれ声をかけていただきました。声をかけていただいていない方は多分来ていただいていないなと思っておりますけれども。  今年から、大事な祭りを後世にしっかりと継承するために、5月の第3土曜日ということで、日程や時間を変更いたしました。当日は10万4,000人の方が伏木に来られたそうであります。  最寄りのJR伏木駅では、JRの御厚意もありまして、20時以降の氷見線の車両を増両していただきましたけれども、それでも満員で対応できていなかったそうであります。  それなりに誘客が見込めるイベントや祭礼のときには、移動の利便性や混雑対策に努めるためにも、県として、市町村や主催者側と連携を図り、ニーズを把握して、積極的に公共交通の利用促進につなげていくべきではないかと考えます。  事前に通告はしておりませんけれども、初めて伏木曳山祭を見られた感想も併せて、南里地方創生局長にお伺いいたします。 66 南里地方創生局長 5月21日、私も家族で観覧に行かせていただきました。感想を申し上げていなくてすみませんでした。  初めて見てみて、ちょうちんのともるすごく優美な姿から一転して、勇壮な腹に響くような「かっちゃ」、あれにすごく衝撃を受けまして、小学生の子供も大変興奮して、「もっと行け」と言っていました。  全力でぶつかり合う曳山や、御参加の港町伏木の方々の祭礼を超えた荒々しさというのでしょうか、こういったものを感じましたけれども、時には神々しさみたいなものも感じられました。  針山実行委員会会長や関係の皆様に敬意を表するとともに、北前船でにぎわった港町伏木の宝なんだなと、そして文化だなと感じたところでございます。  御質問いただきました、イベント、祭礼時における誘客促進でございますけれども、本県には、伏木曳山祭をはじめ、高岡御車山祭、おわら風の盆など、県内外から集客が見込まれる祭りやイベントが多くある中で、新たな観光振興戦略プランにおいても、曳山行事を含めた祭りなど、富山の強みを生かしたコンテンツ造成、多様なツーリズムの展開に努めることとしておりまして、誘客促進に当たって、拠点の駅から観光地までの交通や2次交通の整備など、移動の利便性の向上は重要な課題と認識しているところでございます。  先般、国の緊急経済対策の補正予算により、ウイズコロナでの祭り、イベントなどの誘客、周遊を促すため、コロナ対策のほかに、バス等の臨時運行に要する経費を支援するとされたところでございます。  県としても、本年度のイベント実施に当たって、この制度の活用について市町村に周知し、働きかけているところでございます。  また、県としては、地元の市町村と連携しまして、公式サイト「とやま観光ナビ」において、イベント情報に加え、可能な限り複数の公共交通機関でのアクセス情報も掲載することとしておりまして、公共交通機関の利用促進や混雑緩和に配意しているところでございます。  なお、イベントに限らずですけれども、誘客促進のための2次交通を整備するという観点から、今議会において、交通事業者による公共交通を生かした観光商品の造成、販路拡大の取組の促進、それに必要な観光交通の運行再開等への支援について、補正予算案に提案しておるところでございまして、観光地への利便性向上に努めております。  県としては、交通事業者のほか、国や市町村とも連携しまして、観光地への移動も楽しめる環境づくりに取り組んでまいります。 67 針山委員 事前に通告もしていなかった割には祭りの感想、満点の答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。  コロナの影響もありまして、私どもも本当に遠慮して、手加減をしておもてなしをしたところもございます。来年は、観光客の移動も含めて、しっかりとしたおもてなしに努めてまいりたいと思いますので、富山県の絶大なサポートをまたよろしくお願いをいたします。  デジタル化について御質問させていただきます。  メールの誤送信など、県庁から情報漏えいが頻発しておりまして、今議会でも原因の追究や対策を求める質問が幾つもありました。  県庁のデジタル化に向けて、デジタル化推進室を新設したり、民間の人材を補佐官や職員として登用したり、いろいろと取り組んできておられます。  昨年度から目玉人事としてNTTドコモから前田課長を迎え入れておりますが、私も所属する経営企画委員会で前田課長に何度か質問をさせていただきました。  その中で、ほかの都道府県とのデジタル化の比較に、電通の自治体DX白書.comというサイトの都道府県別DXレーダーチャートや、野村総研が都道府県別デジタル度を可視化したDCIという指標を意識していきたいという答弁をされておられました。  電通のレーダーチャートによりますと、富山県のデジタル化への推進体制は進んでいるものの、人材育成や戦略策定に課題があるという評価になっています。  野村総研の都道府県別DCIスコアでは、2020年7月の調査では24位、2021年7月は29位とランクを落としています。  県庁オープン化戦略のKPIとしても野村総研の指標を活用されておりますが、県庁のデジタル化は、ほかの都道府県と比較してどの程度進んでいると認識しているのか、新田知事に伺います。 68 新田知事 委員御紹介の野村総研のDCI調査、これは4つの構成要素があります。そのうちの一つが、デジタル公共サービスがどれぐらい進んでいるかという指標になります。今の県庁オープン化についてはこれが参考になるのではないかと思いますが、総務省の統計などに基づく行政手続のオンライン化状況や、情報セキュリティー対策の取組状況、マイナンバーカードの取得状況などから、この項目は構成されています。  最新の2021年の調査では、本県の指標は16.9ということで、全国29位、前回調査の指標が12.0で全国43位でしたので、14位ほど上がっています。大幅な向上と考えております。  また、電通さんが2021年に行われた自治体DX白書の都道府県別DX推進度レーダーチャートでは、総務省や都道府県の公開情報を基に、県議会での知事提案理由説明におけるDX関連用語の定量的な観測、CIOの任命状況、ICT研修の状況などから構成されていまして、こちらでは全国7位となっていますが、このような民間指標に一喜一憂することなく、他県の事例も参考にしながら、本県の課題を丁寧に分析し、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えます。  具体的には、本県ではDX・働き方改革推進基本方針に基づいて、リーディングプロジェクトとそれぞれのKPIを設定し、申請手続のオンライン化等の行政のDXを積極的に推進するとともに、住民の利便性向上を図るため、行政情報をワンストップ・プッシュ型で届ける情報発信、市町村と連携した電子入札システムの共同調達などに着実に取り組んでいます。  また、情報漏えい対策も、来年末のメールシステム更新に向け、今、準備を進めているところです。  このような取組を強力に推進することで、結果として指標の数値が向上していくと考えています。この県庁オープン化戦略のKPIに民間指標の活用も検討しておりまして、採用するとなれば、もちろんその達成に向けて全力で取り組んでまいります。 69 針山委員 一喜一憂しないという話もございましたけれども、やはりよそはよそ、うちはうちやという考え方も、ちょっとそれではどうかとも思います。しっかりと取り組むべきことは取り組んで、ランクアップにも努めていただきたいと思います。  今年度の県職員採用上級試験の申込みが締め切られまして、今度の日曜日に一次試験が実施されることになっております。
     県の上級試験に申し込んだのは、過去最少の390人、倍率は3.4倍、申込者及び倍率ともに過去最低となっております。倍率だけを比較すれば、隣の石川県、そして福井県も3.5倍ではありますけれども、倍率の減少率が一番大きいのは富山県でございます。  少子化も要因でしょう。民間企業との人材の奪い合いもあると思いますけれども、例えば、相次ぐ情報漏えいによる県庁への不信感であったり、ひょっとしたら成長戦略に理解が得られていないのではないかと、いろんな原因も考えるわけでございます。  高岡市は通年募集や条件緩和で申込者が増えているというようなニュースも見ておりますけれども、富山県として、人材の確保、また、魅力発信に向けた取組など、古埜人事委員会事務局長に所見をお伺いいたします。 70 古埜人事委員会事務局長 今年度の県職員採用上級試験につきましては、今ほど御指摘いただいたとおり、申込み総数、それから申込み倍率、いずれも記録の残る平成3年度以降最低となりました。試験区分別──職種別のことですけれども、これで見ましても、多くの区分で減少いたしまして、総合土木など技術系の3つの区分では募集数を下回ったところでございます。  複雑高度化する行政課題や多様化する県民ニーズに迅速かつ的確に対応するため、優秀な人材を確実に確保することは不可欠であると思っておりまして、そういう意味では非常に厳しい結果となったと受け止めております。  申込者数はここ10年ほど減少傾向にありまして、その要因といたしましては、今ほどお話のありましたとおり、少子化の影響で、そもそも新卒学生の数が減っていること。これに加えまして、学生の就業意識が多様化いたしまして、公務員を志望する割合が低い状態で推移していること。また、これも御指摘ございましたけれども、今年は特に、民間では、コロナ禍からの経済復興、需要回復を見込みまして、大手企業を中心に採用意欲に回復傾向が見られまして、採用内定も早まっていることなどがあるのではないかと思っております。  そこで、職員の確保のために、まず今年度は、この上級試験の適正な実施によりまして、有為な人材をしっかり見極めたいと思っておりますし、今後、職務経験者や就職氷河期世代を対象といたしました採用試験も順次予定しておりまして、SNS等も活用した情報発信の強化等を通じまして、民間企業等の様々な経験、意欲、能力のある人材の確保に努めてまいります。  また、来年度以降の採用試験を見据えまして、就職説明会を順次予定しておりますけれども、近年、コロナ禍にありまして計画どおりに実施できない部分がございました。すなわち、対面ではなくてオンラインが主流になってしまいました。これはこれで、今まで参加が困難であった地域からも参加いただけたという意味で、メリットもあったわけですけれども、県職員の魅力や働きがいなどを十分にアピールできなかった面もあるのかなと思っております。  そこで、今後は、リアルとオンラインのそれぞれよいところを取り入れた上で、動画やSNSも積極的に活用するほか、学生の意見や要望を踏まえまして、きめ細かく内容の充実を図りながら、県庁各部局と連携いたしまして、ワンチームで職員採用に当たってまいります。  それから、高岡市のお話もございました。試験制度を申込みの動向や社会情勢を踏まえまして、検証して見直すということは必要かなと思っておりまして、他の都道府県でもいろいろ試験制度も工夫をしているところもございますので、そうしたところも詳細に内容や効果を情報収集いたしまして、参考にしていきたいと思っております。 71 針山委員 いろいろ新しい試みも試されるということなんだと思います。ぜひこの原因とその傾向というのをしっかり調査してみてほしいなと思います。ありがとうございます。  今年度より、県職員採用上級試験にデジタル枠が設けられました。試験内容を見てみますと、出題分野に特色は見られるものの、処遇は行政職と一緒、また、民間企業やほかの自治体との獲得競争が激化している中で、一体どのような人材を求めているのか。現在2名の募集のところ応募申込みは4名という状況をどのように考えているのか、岡本経営管理部長に所見を伺います。 72 岡本経営管理部長 県では、昨年度から、職務経験者や就職氷河期世代を対象としました採用試験にデジタル枠を設けており、システム開発の実績がある人材など、これまで4名を採用しているところでございます。  加えまして、今年度新たに、主に新規学卒者を対象とする上級試験の総合行政区分にデジタル枠を設けたところでございます。業務量や職員配置など、全体のバランスを勘案しまして、募集数を2名程度としておりますが、民間等でのデジタル人材の熾烈な獲得競争が見込まれる中、今回4名の応募があったことは一定の評価をしているところでございます。  デジタル職には、デジタル技術やデータ活用に関する知識を有し、柔軟な思考でデジタル化に関する施策を企画立案できる人材を採用したいと考えております。  また、採用後には、人材の育成方針としまして、デジタル部署以外の幅広い行政分野を経験させるとともに、IT企業やデジタル庁へ派遣し、より専門性を高めるなど、デジタルスキルと行政の専門性をバランスよく身につけたDX・働き方改革を推進する中核人材に育てたいと考えております。  委員からお話がありましたとおり、人材獲得競争、民間との処遇に差があるということは承知しております。よい人材を確保できるよう、今ほど人事委員会事務局長からも御答弁しましたとおり、県職員の魅力や働きがいなども十分アピールしていきたいと考えております。 73 針山委員 終わります。 74 武田委員長 針山委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                      午後0時01分休憩                      午後1時00分開議        吉田勉委員の質疑及び答弁 75 永森副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  吉田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 76 吉田委員 冒頭でありますけれども、早速、資料の配付をお願いいたします。 77 永森副委員長 許可します。 78 吉田委員 公明党より、予算特別委員会の質問をいたします。  初めに、子供・子育て支援について伺います。  資料をお目通しいただきますと分かりますように、リトルベビーハンドブックについて、1点目、お伺いさせていただきたいと思います。専門家もおられるところでございますけれども、1つこの質問をさせていただきます。  このリトルベビーハンドブックは、私も初めて聞いた言葉でございましたが、小さく生まれたお子さんの育児支援ということで、母子健康手帳と一緒に使うリトルベビーハンドブックでございます。  日本の赤ちゃんの出生児の平均体重は約3キログラム、それから平均身長は50センチであります。しかし、2019年の統計では、全体の9.4%の赤ちゃんが2.5キログラム未満、それから1キログラム未満の赤ちゃんも0.3%、全国で2,600人以上いたということでございます。  この写真にありますとおり、24週4日で370グラム、26センチで生まれた赤ちゃんの手のひらだっこということで、普通300日とするならば、ちょうどその半分というところで生まれた赤ちゃんでございます。1歳の頃は右の写真のように、すくすく成長しておられるということでございます。  なぜこのリトルベビーハンドブックが必要なのかということですが、既存の母子健康手帳が使いにくいということでございます。一般に配布される母子健康手帳というのは、発育曲線グラフの体重は1キログラムからでございます。それから、身長は40センチから記入するということになっておりまして、体重や身長を書こうと思ったら目盛りがないという、こういうことでございます。保護者は出生時の体重が書けず悲しくなっている。そして、リトルベビーハンドブックでは、例えば体重の目盛りのスタートはゼロからで、子供の成長に合わせた記録が可能ということでございます。  下に写真が載っておりますが、ちょっと見にくいと思いますけれど、私も見本を持っておりますので、また後で見ていただきたいと思います。  一般的な母子健康手帳では、保護者の記録の寝返りをしますかという欄においては、「いいえ」がどうしても続いてしまう。修正月齢で記入しても「いいえ」になることが多くて、母子健康手帳に対する興味を失ったり、記入が苦痛になってしまうと。また、一般の子育ての取組に参加するのもつらい気持ちになって、何か月ですかと聞かれるたびに怖くなってしまったり、他の子供と比べて自分の子供の成長を客観的に見ることを見失ってしまうということでございます。  このリトルベビーハンドブックの作成の目的でございますが、この中には先輩御家族からのたくさんのコメントもあって、サークルの連絡先も入っていると。これによって自分だけではないと思えたり、似た境遇のほかの家族へつながることができるということでございます。  随時また見ておいていただきたいと思いますが、そこで1点目のこのリトルベビーハンドブックについてでございますが、リトルベビーハンドブックは、主に1,500グラム未満で生まれた赤ちゃんとその親のために特別に作られた手帳でございまして、静岡県や岐阜県、福岡県など6つの県で既に活用されています。赤ちゃんが小さく生まれた場合、母子健康手帳に記載された成長曲線、月齢ごとの発達の目安と成長の過程が違うために記録ができず、それによる精神的な負担は大きいとして、こうした手帳を求める声が相次いでいます。  静岡県ではこのような問題を考慮して、地元育児サークルが独自につくった冊子を参考に、しずおかリトルベビーハンドブックを作成し、平成30年4月から配付を開始しております。  特徴は、3つの当事者団体に加えて、総合周産期母子医療センターの医師、看護師等専門職、行政機関などが一緒になってつくられたという点でございます。  中を見てみますと、子供の細やかな成長を喜ぶことができるよう、成長発達の遅れ、そして個人差を考慮した記録項目となっています。また、保護者の心理的な不安に寄り添うため、先輩ママやパパのメッセージを挿入したり、家族会の紹介を載せたりしているわけであります。  このリトルベビーハンドブックを市町村単独でつくるのは非常にハードルが高く、県がリーダーシップを取って作成することが必要でございます。  県が中心となって、市町村はもとより、医師や看護師、保健師、また保護者の方々と連携をして、リトルベビーハンドブックの作成を進めるべきと考えますが、木内厚生部長の所見を伺います。 79 木内厚生部長 低出生体重児と呼んでおります小さく生まれた赤ちゃんと、その家族への支援につきましてです。  市町村におきまして周産期医療機関──大きいところが多いと思いますけども、そこから退院時に提供されます未熟児等出生連絡票で状況を把握するということから始まるわけですけれども、早期に家庭訪問を行いまして、小さく生まれた赤ちゃんの育児方法を解説した冊子でありますとか、あるいは共通の部分については母子健康手帳なども用いまして、出生時の状況を考慮した発育の評価等について説明をしているほか、健診や発達相談会など細かく支援をしているところです。  県でも市町村向けのマニュアルの作成、保健師を対象とした未熟児家庭訪問、乳幼児健診のスキルアップ研修会の開催や、周産期医療機関との連携会議の開催など、支援の体制づくりに努めているところです。  御指摘もありましたとおり、一般的な母子健康手帳というのは標準的なお子さんの成長あるいは発達──身長、体重以外の発達ですね、そういったことに準拠して作成をされているために、様々な理由で、それと自分の子供が違うといった場合に御家族の方が心を痛めるということもございます。  医療機関の関係者の方にお伺いすると、子供によって成長発達の経過というのは様々でありますので、個々の子供の特徴に合わせて支援をしていく必要があるという御意見を伺っております。  そして、現在、国の検討会では、母子健康手帳の10年ぶりに令和5年度に向けまして改訂をするということで検討を重ねておりますけども、その中で、低出生体重児や障害のあるお子さんについてもどう配慮をしていくかといったことも検討されております。  委員から御指摘ありました母子健康手帳以外の様々な支援といったもの、どういうふうに支援していくのがいいかということについては、国の検討の動向も踏まえつつ、また県内の周産期医療機関の関係者や市町村の意見もよくお伺いをしまして検討してまいりたいと思います。 80 吉田委員 今日の新聞を見ておりましたら、新田知事はベビーファースト運動というのを呼びかけておられます。子供を産み育てやすい社会の実現を目指すということになっているわけでございまして、やはりこういったようなことに関しては、ただでさえ少子化に歯止めがかかっていない状況でございますので、こういった一つ一つのとげを取り除いていくことが課題の解決につながっていくと思いますので、ぜひひとつ前向きに捉えて、リトルベビーハンドブックを、富山県におきましても四、五十人ほどおられるわけでございますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に、子を失った家族のケアについて伺いたいと思います。  流産や死産、人工中絶といった周産期に子供を亡くした家族などへの行政の対応について、悲しみ──これをグリーフと言うのですが──を癒やすグリーフケアの視点が重要視されることになりました。厚生労働省はこのグリーフケアに関する手引を初めて作成し、活用を促す通知を4月8日に都道府県などに出しました。  流産や死産を経験した人が、行政の対応によって心を痛めるケースがあるといいます。遺族らの心情に配慮したきめ細かい対応が大切であり、手引の役割は大変大きいと思っているわけです。  この手引では、1つには、死亡届の情報を担当課で共有し、子供が育っていることを前提とした母子保健サービスの連絡を停止する、2つには、子供の死に特化した相談窓口を設置する、3つには、同じ経験をした自助グループを早期に紹介するといったことなどを要請しているわけでございます。  当事者と接する自治体は、寄り添った対応が大切であると私は思いますので、このグリーフケアに今後どのように対応していくのか、木内厚生部長にお伺いいたします。 81 木内厚生部長 御紹介ありましたとおり、流産でありますとか死産、人工妊娠中絶など、子供を亡くした女性、またその御家族におきまして、深い悲しみからなかなか立ち直れないというようなことも少なくないということでございます。まず、つらい気持ちに寄り添って支援を行うことが重要であると考えております。  県では、富山県の女性健康相談センター・不妊専門相談センター、一緒になっているのですけども、そちらで助産師や公認心理士が電話相談や面接相談に対応しております。また、月1回、不育症の方──流産や死産を繰り返すケースですけれども、産婦人科の医師による個別の相談会でありますとか、今御指摘もございました不妊や不育症に悩む当事者の座談会というのも開催しております。  また、御紹介ありました子供を亡くした家族への支援の手引を県内の産科医療機関、そして市町村にも支援をしておりまして、関係機関、また自治体におけるグリーフケアについての理解の促進、支援の質の向上に努めております。  様々なネットワークもございますので、こうした手引も活用して、関係機関と連携をして、御家族の気持ちに寄り添った支援が行われますよう努めてまいります。 82 吉田委員 ぜひ、これも先ほどのリトルベビーハンドブックと同様、ひとつ力を入れてやっていただきたいと思います。  とにかく、流産とか死産によるつらさを感じている人は、6か月後でも5割を超えていると。それから、約3割は1年以上も続いているという、こういった資料もあるわけでございますが、やはり最もつらかったときには抑鬱状態になるということで、これは7割近くがそういう状況になったと聞いているわけであります。  こういった流産、死産というのは、近親者以外には知る人が少ないために、社会に認められにくい悲嘆と、こういうようなことも言われるわけでございまして、こういったことも非常に大事な視点だと思いますので、ちっちゃなことだと思わずに、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと、このように思うわけでございます。  次は、ヤングケアラー支援の強化について、3点伺わせていただきます。  政府はヤングケアラーに関する実態調査と前後して、支援策の強化に乗り出し、2022年度から3年間を集中取組期間と定めました。その柱の一つは、ヤングケアラーに関する認知度の向上でございます。中高生を対象にした実態調査では、8割以上がヤングケアラーという言葉を聞いたことがないと回答しております。国民一般の認知度も低いと、このように見られているわけでございまして、政府はこの集中期間に積極的な広報を行い、認知度5割を目指すとしているわけであります。  このヤングケアラーを早期に発見して適切な支援につなげるために、まずはヤングケアラーに対する社会的認知度の向上が必要と考えますが、県は今後どのように取り組んでいくのか、木内厚生部長にお伺いいたします。 83 木内厚生部長 ヤングケアラーにつきましては、家族の中でのこととして問題が表に出にくいことや、小さな頃からそうだという場合に、子供本人あるいは御家族も問題として認識をしていないというような場合がありまして、そうした面からも実態の把握が大変難しいとされています。  県では、まず認知度を関係者の間でも高めようということで、昨年11月に、地域で子供、若者支援に携わる方などを対象に、オンラインでしたけれども、専門の先生に御講演をいただきまして、まずは共有をしたところでございます。その上で、今年度は近年の状況を把握するため、子供を対象に県内の実態調査を実施することとしています。国において以前に実施をされました調査の手法も参考にしながら、また市町村、そして学校、先生方にも御協力をいただいて進めていきたいと考えております。その上で、実態調査の結果を分析するとともに、教育委員会、市町村など関係機関ともよく協議をしまして、さらなる認知度の向上、また早期発見、必要な支援につなげるための効果的な施策の在り方を検討してまいりたいと考えております。 84 吉田委員 今、調査中ということでございますが、4月にはもう22年度の予算も成立したわけであります。昨年12月に補正予算も成立しているわけでございますが、もう関連予算は盛り込んでおりますので、これもやはり早急な支援の一つだと思いますので、ひとつぜひ広報に努めていただきたいと。まだまだ知らない人がいっぱいいるんですね、ヤングケアラーって何のことやらということで。ひとつまたよろしくお願いします。  そこで次に、国はヤングケアラーについて、日々のケアに多くの時間や労力を割くために、学業不振あるいは不登校、就職機会の喪失など、深刻な問題に発展しているケースがあると見ております。ただ、ヤングケアラーは幼い頃からそうした状態に置かれていることが多くて、当事者自らが相談したり助けを求めたりすることが少ないとされ、学校などで助けを求めることの大切さを周知していく方針としております。  家族のために献身する行為自体は尊く、そして否定すべきものではございませんが、それが原因で自分の将来に希望を持てず苦しむようなことがあってはなりません。教育現場において、ヤングケアラーの早期発見に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、荻布教育長に伺います。 85 荻布教育長 教員は子供と接している時間が長く、ヤングケアラーを発見しやすい立場にございまして、早期に気づくことで支援につなげていく第一歩となれる可能性がございます。  学校ではこれまでも、生活ノートや日頃の様子の観察、また不安や悩みに関する調査の実施、個別面談などによりまして、子供たちが発するサインを見逃さないように努めております。  また、県教育委員会では、スクールカウンセラーなどを活用しまして、子供たちに対して、悩みや不安を相談することの大切さを教えるSOSの出し方教育を充実するように、学校に働きかけをしております。  学校では、変化に気づいた場合は、スクールソーシャルワーカーなどとも情報を共有して適切な対応について協議をし、必要に応じて関係機関とも連携をしながら、チームで支援するといった対応をしております。  一方で、子供たち自身が大変だと自覚をしていないケース、うまくSOSが出せないケースもございまして、また、学校では家庭の細かい状況を把握し切れないことですとか、家庭内の問題にまで介入することが難しいケースがあることなど、ヤングケアラーの発見には課題もございます。  このため県教育委員会としましては、今後、心理学の専門家などとも連携し、教員を対象に子供のSOSの受け止め方に関する研修を実施するなど、子供のサインを見逃さず早期に適切な対応につなげられるよう、教職員の資質向上を図っていきたいと考えております。  さらに、こども家庭室など知事部局の関係課をはじめ関係機関と連携をしまして、家庭の問題を抱える子供についての把握と支援のための連携体制の構築を図っていきたいと考えております。 86 吉田委員 ぜひ早期発見に頑張っていただきたいと思います。国は3年間、集中取組期間でございますので、広報と併せてよろしくお願いしたいと思います。  次に行きますが、厚生労働省は5月14日に、学校や自治体などが連携するためのマニュアルを公表して、主体となる機関や部署を決め、コーディネーターを配置することを提言しています。  また、厚生労働省が4月に公表した小学校への調査結果によりますと、ヤングケアラーと思われる児童を外部の支援につないでいないと、いわゆる学校の中で対応していると答えた学校が42.7%に上ったと言われております。その理由といたしましては、対応の仕方が分からないなどの回答があったために、マニュアルでは、教育、福祉、介護などの関係機関による連携改善の必要性を指摘しております。  また、これは担当者が多いと全体方針がぶれるおそれもあり、素早い情報提供も難しくなることから、支援計画を立てて役割分担を明確にした上で、本人や家族の考えを尊重しながらのサポートや、行政だけではなくて地域全体で見守ることも求めているわけでございます。  国は、来年の4月に発足するこども家庭庁、これを司令塔に、ヤングケアラーの問題に省庁横断的に取り組むとこととしておりますが、本県においても、こども家庭室を中心に部局横断的な連携体制を構築し、さらには関係機関とワンチームとなって、このヤングケアラーの問題に取り組むべきではないでしょうか。連携体制の構築に向けて今後どのように取り組んでいくのか、新田知事にお伺いしたいと思います。 87 新田知事 先ほど木内厚生部長からも答弁したように、ヤングケアラーはやはり家庭内のデリケートな問題なので表面化しにくい構造があります。ですから、福祉、介護、教育などの様々な分野の関係機関、団体が連携した早期発見・支援につなげる取組が求められています。  今委員からも御指摘がありましたように、国では、昨年度、厚生労働省と文部科学省の連携──これが大切だと思いますが、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームが設置され、関係機関などへのヤングケアラーの研修の実施、地方自治体における現状把握の推進、相談体制や関係者連携の強化、広報媒体やフォーラム等を通じた社会的認知度の向上などの施策がまとめられたところです。  これを受けまして県では、県内におけるヤングケアラーに関する実態調査を行い、その結果を分析の上、支援策の検討を行うことにしております。先ほど、もう4月から予算がついているじゃないかと御指摘もありましたが、これから実施をすることになっています。本年4月に新設したこども家庭室が中心となって取り組みます。  さらに、部局横断的な企画立案や施策を推進するために、こども未来プロジェクトチームを設置しましたが、ここで福祉、介護の担当課、また医療の担当課、そして教育委員会などと連携して検討することにしています。  今後、関係機関や民間団体で構成しております子ども・若者支援地域協議会においても協議を行い、ヤングケアラーを決して孤立させることなく適切な支援につなげていくために、関係機関等と連携を図りながら、委員がおっしゃるように、部局横断的に取り組んでまいります。  現時点でも、子ども・若者総合相談センターなどで相談の門戸は開かれています。また学校では、先ほどもありましたように、スクールカウンセラーの対応は可能です。ただ、専門の相談窓口が必要なようでしたら、やっぱりこれはスピードを持ってやる必要もあろうかと思います。 88 吉田委員 私どももこれから参議院選挙を迎えますけども、やはり人への投資というか、これから将来の日本をしっかり切り開いていってくれる未来への投資というか、こういった観点からも、こういったヤングケアラーのことは、非常に大事なことではないかと思います。  政府も、とにかくヤングケアラーコーディネーターの配置やオンラインサロンの運営、こういったようなことも言っているわけなので、ぜひそういったものをよく見て、県としてまたひとつ取り組んでいただきたいと思います。  次に、県内経済の活性化についてお伺いしたいと思います。  まず1点目は、木材需給の逼迫への対応についてでございます。  林野庁は、ウクライナ侵略を続けるロシアに対する経済制裁として、一部木材の輸入を禁止したことなどに伴って、国内の木材需給等への影響が生じないよう、関連業界に対して外国産材から国産材の切替えを臨時的に支援することとしております。  林野庁によりますと、日本の木材自給率は4割程度にとどまっており、欧州連合、そしてまた中国、カナダ、ロシアなどからの輸入に頼っているという現状であります。  このため、国産材への切替えに対する支援が国の総合緊急対策に盛り込まれ、2022年度予算の予備費から約40億円支出しております。その内容といたしましては、遠方の供給地からの運搬費用や、調達した国産材を大量に保管するための保管費用について補助するという内容でございます。
     また、住宅メーカーに対しては、国産材の使用量に応じて木材の調達価格の一部を手当てするほか、設計変更に係る費用も補助することとしているわけであります。国はこのように、思い切った対策を講じているわけでございます。  本県も長い間、外国産材に依存していたのではないかと思うわけでありますが、私も実家が建築業をしているものですから、外国産材ばかり使っていた時期はあったと思いますが、木材の一部輸入禁止による県内への影響をどのように認識し、その対策としてどのような取組を進めていくのか、堀口農林水産部長にお伺いします。 89 堀口農林水産部長 ロシアからの木材の輸入につきましては、チップ、丸太、単板の3品目で輸入禁止措置が取られておりますが、いずれも県内での取扱いはございません。  一方、県内製材事業者の一部では、輸入禁止とはなっていない原板──粗びきした板材のことでございますけれども、この原板が取り扱われており、垂木などの下地材に加工されておりますが、事業者からは若干の遅れはあるもののほぼ順調に入荷をし、在庫も6か月程度確保しているとお聞きしておりまして、今のところ特段の影響は生じていないものと認識しております。  しかしながら、EUのロシア材輸入禁止などによりまして、世界的な木材需給の逼迫が懸念されております。県内でも県産材の需要が高まっているほか、事業者からは遠方から原木を集める必要があり、調達コストが増しているといったような声もございます。  県といたしましては、国の総合緊急対策に盛り込まれました国産材調達のための運搬や設計等に係る経費への支援事業がございますので、こうした事業の活用を促しますとともに、県産材の増産や安定供給が図られますよう、この6月補正予算案にも県営林の毎木調査の前倒し実施、林業事業体や木材加工事業者の負担軽減につながります省エネ型の高性能林業機械や木材加工設備の導入支援に係る経費を計上させていただいております。  今後とも、県内の木材需給の動向あるいは事業者への影響を注視しつつ、この機を県産材需要拡大の好機と捉えまして、森林クラウド等の活用による効率的な森林整備や、とやま県産材需給情報センター等と連携した安定供給体制の構築にしっかり取り組んでまいります。 90 吉田委員 ぜひ、持家率全国1位の富山県でございますので、木材の動向というのは非常にみんな敏感だと思いますので、ひとつぜひ取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。  次に、持続的な賃上げに向けた取組について伺います。  今年の春闘については、経団連は大手企業81社の回答状況を第1回集計として発表したわけであります。定期昇給を含む月額賃金の引上げ率は、業績回復を背景に2.27%、7,430円と、2018年以来4年ぶりに前年の1.82%を上回りました。この流れを強くして持続的な賃上げにつなげていくことが、日本経済の再生に不可欠であろうと思います。  ところが、日本の実質賃金は約30年間、ほぼ伸びておりません。この点が、先進諸国の中で日本経済の成長率が低い要因の一つと指摘されておるわけでございます。  重要なのは、やはり持続的な賃上げで消費を喚起し、企業の収益増につなげ、さらなる賃上げを促す好循環をつくることであろうと思います。  忘れてはならないのは、大企業に比べて体力の弱い中小企業への目配りでございます。本県の中小企業の持続的な賃上げに向けて今後どのように取り組んでいくのか、中谷商工労働部長にお伺いをいたします。 91 中谷商工労働部長 当面、終息が見通せない世界的な情勢で、エネルギーや原材料価格が高騰しております。  こういった中で、持続的な賃金の引上げにつなげていくためには、先ほど針山委員のときに知事から御答弁がありましたが、企業の生産性向上等の成果が賃金の上昇、さらには消費の活性化につながっていく、そういう好循環を持続的なものにしていくことが大事であると考えております。  少し答弁が繰り返しになりますが、県ではこれまでも、ビヨンドコロナ補助金等により、中小企業等のDX推進、販路開拓など生産性向上等を支援してきておりまして、6月補正予算ではこれらの対策について拡充をしていくということを盛り込んでおります。  また、国におきましては、賃金の底上げを行う事業者の設備投資を支援する業務改善助成金を設けておりますことから、県においてもこれに上乗せ補助を行う富山県賃上げサポート補助金を新設いたしまして、国と共に、様々な機会を捉え、賃金の引上げ機運を醸成していきたいと考えております。さらに、商工団体等による地域資源の活用を促進して消費喚起を図る取組を支援する補助金も盛り込んでおります。  これらが全国的な生産性向上、賃金引き上げ、消費活性化の持続的好循環の一助となりますよう、労働局、商工団体、金融機関などと連携をいたしまして取り組んでまいりたいと考えております。 92 吉田委員 ここでやはり大事なのは、持続的な賃上げですよね。これがなければ、将来不安があって、財布のひもが固くなってしまって、GDPの5割以上を占める個人消費に勢いが出ないと思います。それがまた企業業績にも影を落として、賃上げの原資を生み出すことが一層難しくなるという悪循環、こういったものに陥りかねないという状況であろうと思います。  今、非常に諸物価が高騰しておりますし、賃金はさほど上がらないというような感じでいるわけですけれども、負のスパイラルに陥らないように、大変重要な境目に来ているのではないかと僕は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  ただ、ちょっとよかったなと思っているのは、賃上げ税制を拡充する、この税制の改正関連法案があったことはいいなと思います。いわゆる基本給やボーナスも含めた賃金の総額を増やした場合に、その総額分に見合う、大企業では最大30%、中小企業は40%の法人税が控除されるということは非常によかったと思っているわけですが、そういった持続的な賃上げというものをよく見ていただきたいと思います。  3点目は、女性のデジタル人材育成について伺います。  政府は4月26日に、女性デジタル人材育成プランを取りまとめました。就労に直結するデジタルスキルの習得と、柔軟な働き方を促す就労環境の整備の両面から支援をして、女性のデジタル人材育成を加速化していくことが目的でございます。  デジタル分野は人手不足が続いております。そしてまた、今後も労働力を求めるニーズが高まるとも見られているわけであります。  IT技術者における女性の割合は、わずかに19%にとどまっているという現状でございます。女性のデジタル人材の育成は急務であろうと思います。  また、新型コロナの影響で、非正規などを中心に減収やあるいは失業などで困窮する女性が増える中、今後も成長が見込まれるデジタル分野での就労は経済的に安定につながって、さらに育児や介護をしながらテレワークで取り組めるなど、女性にとってのメリットが非常に大きいと僕は考えるわけであります。  本県においても、デジタル分野の人材育成と女性の就労環境の向上を目指すために、女性のデジタル人材育成を積極的に推進すべきと考えますが、今後どのように取り組むのか、新田知事にお伺いします。 93 新田知事 委員がおっしゃったように、国では先般、女性のデジタルスキルの向上とデジタル分野への就労支援を目的とした女性デジタル人材育成プランを策定され、デジタル分野への間口を広く取って女性の参入を促進する、また柔軟な働き方で女性がデジタル就労できる環境を整備する、女性デジタル人材の裾野を広げるため、官民連携の取組を横展開することが対策のポイントで、一石二鳥、三鳥を狙ったような作戦だと思います。  県では、去る3月に策定した富山県女性活躍推進戦略において、コロナ禍においてニーズが高まったテレワークをはじめとする多様な働き方への支援や、女性の活躍分野拡大の一環として、デジタル人材の育成などを重要な施策と位置づけて取り組んでいるところです。  今年度は、テレワークをはじめ企業における柔軟な働き方を一層促進するほか、女性就業支援センターにおいて、動画撮影や編集、ウェブの制作、ネットショップの運営等に係る初級者向けのワークショップの開催や企業からの切り出し業務のマッチングなどを通じて、在宅ワーク実践の機会を提供するなど、女性のデジタルスキルの向上や就労への支援を行っています。  また、女性を含む求職者向けのIT関連技術の職業訓練については、本年度は定員を拡充して実施するとともに、富山県技術専門学院及び県が職業訓練を委託しております民間の教育訓練機関において、訓練受講中の託児サービスを行うなど、デジタル人材としての活躍を目指す女性のスキルアップの促進を通じて、本県の課題の一つであります若い女性の流出を抑止する効果もあるのではないかと考えております。 94 吉田委員 知事、力強い応援の言葉ありがとうございます。  本県はまだまだ製造業中心ということで、なかなかデジタル人材の女性の割合もまだまだ少ない状況でございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  いずれにしましても、テレワークの定着促進に向けて自治体が連携して、全国的な導入体制、これの整備が大事かと思います。  とにかく3年間集中的に取り組んで、3年後にまた効果を検証して見直しを行うと聞いておりますので、いろいろな柔軟な働き方を推進するためのプランですけれども、ひとつ集中的にやっていただきたいと思います。どうもありがとうございます。  次に、住民ニーズへの対応について伺います。  我々公明党におきまして、今年の1月から2月にかけましてアンケート運動を実施いたしました。  テーマは3つでございます。1つは子育て応援、2つ目には高齢者支援、3つには中小企業・小規模事業者支援をテーマとしてアンケート調査をいたしました。計15万7,135件の回答が集まりまして、その結果に関連して、3点ほど質問をさせていただきたいと思います。  まず1点目は、子育て支援についてでございますが、アンケートでは、充実すべきだと思う政策──複数選択する科目があったんですが──を聞いたところ、まずやっぱり児童手当の拡充と大学など高等教育無償化の所得制限の緩和がともに5割を超え、そして子ども医療費助成の拡充が49%で続いたという結果でございました。国の最重要課題の一つである子育て支援につきましては、依然として経済的負担が重いというのが現状であります。また、年代や家族構成によってニーズは多様でありまして、とりわけ多子世帯、独り親世帯への支援は急務でございます。  誰もが安心して子供を産み育てられる社会の構築に向けて、子育て、教育に係る経済的負担のさらなる軽減が必要と思いますが、木内厚生部長に所見を伺います。 95 木内厚生部長 子育てに伴う経済的負担の軽減につきましては、所得の再分配に関わるものでもありまして、国においても議論されております。出産育児一時金の増額をはじめとして、経済的負担の軽減を議論するということ、また児童手当の在り方の検討、さらに給付型奨学金などの多子世帯の中間層への拡大などにも取り組むとされているところです。  県におきましても、国、市町村との役割分担の下、これまで子育て応援券の配付や乳幼児医療費の助成などによる支援のほか、特に経済的負担の大きい多子世帯や独り親世帯に対しまして、第3子以降の保育料の原則無償化や子育て応援券による手厚い支援、多子世帯向け融資や独り親世帯向け貸付制度の実質無利子化、児童扶養手当の支給や独り親家庭の医療費の助成、とやまっ子すくすく電気事業による多子世帯の電気料金の軽減などに取り組んでまいりました。  また、今年度は新たに、乳幼児医療費助成の拡充、保険適用外の特定不妊治療への助成を行うほか、子育て情報サイトへのAIチャットボットの導入や独り親向けポータルサイトの開設など相談体制の充実、また、産後に家事代行サービスを行うヘルパー派遣の拡充を行うなど、各般の施策を組み合わせて子育て支援に取り組んでいます。  国では、来年4月のこども家庭庁の設置の動きと併せて、子供関連予算を拡充するとしております。今後こうした国の動きも注視しながら、市町村や関係団体と連携して、多子世帯、独り親世帯も含めた子育て世帯への支援に取り組んでまいります。 96 吉田委員 昨日、五十嵐委員が私立高校の授業料無償化を本当に力強く訴えられました。これは私は本当に賛成したいと思っておりまして、これには先ほどいろいろ財政需要が大変大きいというお話ございましたので、県単独では難しいのかもしれませんが、やはりこれは国の支援をどんどん要請していくということが大事かと思います。大きければ大きいほどできないのではなくて、しっかり国へ申し述べていくということが大事かと思いますので。私はこういったところも、教育にかける予算の使い方というのはまだまだ少ないと、こういうふうに見ておりますので、ぜひここらあたり頑張っていただきたいと思います。  それから、2点目でございますが、高齢者支援についてございます。  アンケートでは、困っていること、心配に思っていることについて聞きました。最も多い回答は「自分や家族が認知症になったとき」で、これは64%ございました。認知症対策につきましては、その取組を一段と強化することが求められると思います。  一方、困ったときに助けてくれる存在を尋ねたところ、そういった設問におきましては、配偶者あるいは別居の親族が約半数を占めました。しかしながら、民生委員は3%にとどまっているという現状でございます。  高齢者が困ったときに助けてくれる存在として、自治体の職員や民生委員などの公的人材を挙げた人が少なかった点というのは見過ごせないことであろうと思います。この公的サービスにたどり着いていないケースも考えられるわけでございます。  こうしたことから、本県においても、認知症についての相談体制や、あるいは情報提供の在り方というものを見直して、さらなる充実を図る必要があると考えますが、木内厚生部長に所見を伺います。 97 木内厚生部長 誰もが認知症になっても安心して暮らせる地域づくり、これを推進するために、これまで県と市町村では、連携をしまして、認知症の正しい理解の促進や地域の相談支援体制の構築に努めてまいりました。  具体的には、認知症の人やその家族を手助けする認知症サポーターを養成するため、自治会や民生委員、金融機関や大型スーパーの従業員の方など、地域の身近な方を対象としまして研修を行いまして、これまで約14万人が受講を完了しております。  また、9月の世界アルツハイマー月間に併せまして、富山駅前などで街頭キャンペーンを実施しまして、県民への認知症の理解の促進に努めてまいりました。  また、相談支援体制については、市町村や県内61か所の地域包括支援センターで、認知症を含めた高齢者の総合相談の窓口を実施しております。また、二次医療圏ごとに整備している認知症疾患医療センターにおきまして、専門相談や鑑別診断等を行っております。県のホームページなどにおきましても、こうした相談窓口や認知症に関する情報の発信を行ってきたところです。  今後、高齢化のさらなる進展の中で、認知症高齢者のさらなる増加が見込まれております。御指摘のとおり、相談体制や情報発信については一層強化をしていく必要があると考えておりまして、今年度も新たに大型のショッピングセンターにおきまして、認知症にやさしい地域づくり推進キャンペーンといったものを開催し、VR(バーチャルリアリティー)を活用しまして、認知症の方の物の感じ方を体験いただくとか、あるいは企業での取組、そして地域ごとの認知症相談窓口や認知症の人と接する際の対応方法等についても情報を紹介していくといったことなど、地域全体で認知症の人と家族を支える体制、こういったものの体制づくりにつなげてまいりたいと考えています。 98 吉田委員 まだまだこれから、都会あたりはもっと大変だろうと、まだ地方は少し目配りができる体制だろうと思うのですけれども、これからますますこういったようなことが大変重要になってくると思います。  したがいまして、何か1つ工夫して認知症の相談体制というか、もう少し深掘りしたような取組をぜひ今後も取り組んでいただきたいと思っているわけでございます。  ありがとうございました。  3点目におきましては、中小企業、小規模事業者への支援についてでございますが、アンケートにおきましては、事業者が求める支援について聞いたところ、従業員数が5人以下の事業者は、事業を承継する際の補助金が35%と最も高くて、融資制度などの資金繰り支援が26%で続いたと。  一方、従業員数が6人以上の事業者では、賃上げしやすい環境整備に向けた補助金、助成金が約5割です。そして、人材確保に向けた助成金も同様の高い値を示した。このように、事業者の規模によって利用したい支援策が異なっていることが分かりました。また、中小企業、小規模事業者への調査では、国のIT導入補助金や賃上げ税制といった支援策が十分活用されていない現状も浮き彫りになったところでございます。  現在、ウクライナ情勢による経済への影響も懸念されており、原油高騰、物価上昇への対応など、きめ細かな支援が求められております。  このため、中小企業、小規模事業者への支援については、事業者の規模や業態、経営状況などに応じて適切な支援策を周知するとともに、事業者のニーズを酌み取りながら制度の改善、充実に取り組んでいくべきと考えますが、中谷商工労働部長に所見を伺います。 99 中谷商工労働部長 県内の中小企業、小規模事業者が抱える課題、ニーズを把握いたしまして、国の施策と連携しながら経済情勢などを踏まえた支援を実施していくことは、大切なことであると認識しております。  県ではこれまでも、利用者の皆さんから御意見、御要望を事業に反映させてきておりまして、例えばビヨンドコロナ補助金では、デジタル化が十分に進んでいないという声が多かったことから、特別枠を設けることによりまして、先進的なDXの取組を支援する一方で、通常枠ではその前提となるIT機器等の導入費用を対象とすることとしておりますほか、小規模事業者でも利用しやすいように、補助金の下限額を引き下げるという工夫をしております。  また、午前中に山崎委員にもちょっとお答えしましたが、昨今の物価高騰について、県内企業からの要望やアンケート結果等を踏まえまして、6月補正予算案に対象の拡充を盛り込んでいるところでございます。  また、今委員からお話がありました国のIT導入補助金では、今年度からインボイス制度への対応も見据えたパソコンやレジ等の購入費用を補助対象に追加されましたほか、会計ソフト等のITツール導入に係る経費の補助率を引き上げるなどの見直しが行われているところでございます。  このような制度の改善内容につきまして、国や県のホームページに掲載いたしますとともに、商工団体等の関係機関を通じて、事業者との経営相談等の際に周知いただいており、有効に御活用いただけるよう努めてまいります。  引き続き関係機関において情報共有、広報を連携しながら、多様なニーズに対応した支援策を充実してまいりたいと考えております。 100 吉田委員 ぜひきめ細かな御支援をひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後になりますけれども、学校を取り巻く環境の変化への対応について伺います。  新型コロナウイルス感染症の長期化、そしてウクライナ危機などによって、原材料価格が値上がりしております。学校給食の食材調達にも大きな影響が出ているものと考えます。学校給食は保護者負担が原則ではあるものの、その考え方を維持しつつ、保護者負担を増やすことなく、限られた予算の範囲内で栄養のバランスや質などに十分配慮する必要がございます。  そこで、現在、学校給食の食材調達にどんな影響が出ているのか、また今後どのような対策を取っていくのか、荻布教育長に伺います。 101 荻布教育長 学校給食は、成長期にある児童生徒に栄養バランスの取れた豊かな食事を提供することで、健康の増進、体位の向上といった役割を担いますとともに、食育を推進するための生きた教材ともなっております。  このため、学校現場などにおいては、児童生徒が望ましい栄養量や栄養素をバランスよく摂取できるよう、様々な食材を活用し、魅力ある給食の提供に努めております。  また、食料品などが高騰して給食の食材費にも影響する場合には、食材に係る経費を抑えるため、食材を別の安価な食材に変更したり、デザートを手作りするなど、日頃から献立を工夫しながら限られた給食費の中でやりくりをしてきております。  しかしながら、昨今の物価高騰による食料品などの値上がりは、こうした学校現場の工夫だけでは対応し切れないほどの厳しい状況にもなっており、このまま食材の値上げが続けば、現状の給食費で給食の質、量を維持することが困難になると考えられます。  このため県教育委員会では、保護者の負担を増やすことなく、質や量を維持した豊かな学校給食を提供できるよう、今般の6月補正予算案において、国の地方創生臨時交付金を活用し、給食を実施している全ての県立学校に対して、給食費の高騰に係る経費を補填するための予算を計上しております。  今後とも、児童生徒の健やかな成長発達のために、魅力ある豊かな学校給食の充実に努めてまいります。 102 永森副委員長 吉田委員。持ち時間が少なくなっておりますので、簡潔にお願いします。 103 吉田委員 はい。よろしくお願いいたします。  最後になりますが、環境教育について伺います。  地球規模での環境問題への取組であるSDGsや2050年のカーボンニュートラル達成に向けては、さらなる取組が急務でございますが、公共建築物の中でも特に大きな割合を占める学校施設の老朽化がピークを迎える中にあって、教育環境の向上とともに学校施設を教材として活用し、児童生徒の環境教育を行うエコスクール事業が今まで行われてきたわけでございます。  この事業は、省エネ効果に加えて教育的な効果として、太陽光発電、いろんな学校施設を通して仲間と共に環境問題や環境対策を学ぶことができたわけでございます。この環境教育の充実に向けましては、このエコスクールの取組が非常に有効であると考えます。  そこで、新築や増築といった大規模な整備だけではなくて、LEDや二重サッシといった部分的なZEB化事業も、できるところから取り組む学校を増やしていくことが大変重要であります。本県においてもエコスクールの取組を推進すべきと考えますが、荻布教育長に所見を伺います。 104 荻布教育長 エコスクールについては、県教育委員会では、平成9年度の制度創設以来、平成28年度まではパイロットモデル事業により、また29年度からはエコスクール・プラス事業を活用しまして、環境に配慮した学校施設の整備を進めてきております。  これまで43校が国の認定を受け、校舎の断熱化、太陽光発電、内装木質化などの整備が行われているところでございます。  認定を受けた学校では、整備した施設を活用しまして環境教育を実施しており、木材利用が地球温暖化防止に貢献する仕組みを学んだり、実際に太陽光発電量をモニターで見ながら、再生可能エネルギーへの理解を深める授業などを行っております。  国においては、2050年脱炭素社会の実現に向けて、このエコスクールに対する補助要件を今年度からより環境に配慮した内容としておりまして、建物で消費するエネルギーを半減するとともに、残り半分のエネルギーについても、将来的に全て創エネ──例えば太陽光発電などですが、創エネで賄う計画を策定することに改正するとともに、財政支援措置を拡充したところでございます。  エコスクールは、環境負荷の低減に貢献するだけではなく、教材として活用することにより、学校が児童生徒だけでなく、地域にとっての環境・エネルギー教育の発信拠点としての役割を担うものでございます。  県教育委員会としては、今後も各市町村に対して、先進事例や国庫補助金のかさ上げ措置など、財政面でのメリットを周知いたしますとともに、県立学校での導入の可能性について検討するなど、エコスクールの整備推進に努めてまいります。 105 永森副委員長 吉田委員の質疑は以上で終了いたしました。  ここで、マイク調整のため若干会議を中断いたします。その場で少しお待ちください。        奥野詠子委員の質疑及び答弁 106 永森副委員長 奥野委員。あなたの持ち時間は60分であります。 107 奥野委員 それでは、早速質問に入ります。  本県では、定年による教員の大量退職や、若い教員の出産、育児に係る休暇取得等による現場の教員不足を解消するため、教員の確保が急務とされてから既に10年余りが経過をしています。  しかし、本県の教員採用選考検査の受検者数は、平成25年度に1,128人だったものが令和4年度は717人と、4割近くも減少しました。しかも、この合格倍率というものも、平成25年度の3.7倍から2.1倍にまで下がっています。県教育委員会は、毎年、受検者数の増加に向けた取組をしていますが、結果は伴っていません。本県の教員志望者が年々減少している要因について、どのように分析をしているのか、教育長の所見を伺います。 108 荻布教育長 本県における教員志願者数は、令和2年は822人、令和3年は836人、令和4年では754人と減少傾向にございます。志願者減少の要因としましては、少子化に伴い教員養成大学や学部出身の教員志願者が減少していること、また、ここ数年、民間企業の採用意欲が高く、学生の民間企業への就職志向が強まっていることなどが挙げられると考えております。
     また、教員は多忙であるというイメージ、認識の広がりや、新型コロナウイルス感染症の影響などで学生の教育実習の機会が制限されたことなども志願者減少の背景にあるのではないかと考えております。 109 奥野委員 少子化とはいいましても、35人学級の導入であったり、特別支援学級、通級の増加であったり、教員確保の必要性というのは今後も高いままと想定をされます。本県の教育環境を維持していくためには、今教育長が答弁なさったように、いろんな環境の変化があるのかもしれませんけれども、高い志と意欲のある教員志願者を全国から広く呼び込むことが必要だと考えます。  一般的に教員になるためには、教員免許が必要であります。教員免許を取得するためには、教育実習の履修が必要となっています。本県の小中学校及び高等学校並びに特別支援学校における教育実習生の受入れ状況の推移を伺います。 110 荻布教育長 本県の公立学校における教育実習生の過去5年間の受入れ状況の推移を校種別で申し上げますと、小学校では、平成30年度が183人、令和元年度が204人、令和2年度が198人、令和3年度が164人、今年度は178人の予定となっております。  中学校では、平成30年度以降、139人、129人、130人、185人と推移し、今年度は165人の予定です。県立高校では、平成30年度以降、124人、111人、87人、114人と推移し、今年度は113人の予定です。特別支援学校では、平成30年度以降、10人、14人、15人、19人で、今年度は19人の予定となります。校種を合計しますと、平成30年度からは、456人、458人、430人、482人、475人と推移をしております。 111 奥野委員 今ほどの答弁では、教員の成り手不足と言われていて、受検者数は減っているものの、教育実習生の受入れ数というのは実はそこまで変わっていないということが分かりました。  しかしながら、今申し上げましたとおり、志願者数は減っているわけでありまして、県教育委員会は志願者の確保のために、大学訪問であったり、私も過去に提案した採用試験における加点制度導入など、様々工夫をしていただいておりますけれども、思ったように結果に結びついていないということだと思います。  ただ、今答弁いただいたとおり、教育実習生の受入れの数というのは実はあまり変わっていませんので、そもそも大学入学時に教員を目指してみようと思う学生たちの数というのは減っていないわけです。  ということは、この教育実習に今回着目をして、教員採用試験の志願者増加に教育実習を通してしっかりと獲得をしていくと、こういう取組について提案をしていきたいと思っています。  学生にとって教育実習は、単位を取るための学びだけではなくて、実際の学校現場を体験する、いわゆるインターン的な要素もあります。本県で教育実習を受ける学生の中には、当然教員になりたいと強く思っている学生もいれば、教員以外の就職先も視野に入れつつ進路を迷っている学生もいれば、今のところ教員になるつもりはないけど資格は取っておこうと、こういう学生もいると思います。  ただ、どういったモチベーションで教育実習に入ろうが、本県で実習を終えたときには、富山県で教員になりたいと、こう思ってもらえるような学習、実習内容であるべきです。そのために、学校や教育委員会が一体となって、きめ細かい対応を積み重ねていくことが重要です。そういった取組の先に、教員採用試験の志願者数の増加という結果がもたらされると思っています。  教員を目指す学生の中でも、特に意識の高い学生というのは、やはり理想の教員像や、体験してみたい教育環境というのが明確にあります。教育実習を希望する県内外の学生に対し、母校だけではなくて、例えば中山間地域の小規模校や、地域で特色ある取組をしている学校を紹介し、実際の教育実習でどのような経験ができるのかという情報を取りまとめて広く発信してはどうかと考えます。教育長の所見を伺います。 112 荻布教育長 委員がおっしゃいましたとおり、まずはやはり実習を受けてもらって免許を取ってもらう。そうでなければ母数は広がらないというわけでございます。私もかつて教員になろうかどうしようかと迷いながら実習を受けた口ですけれども、実習で貴重な体験をして教員を志してもらうということが大事だと思っております。  教育実習につきましては、まず文部科学省では、大学の教職課程の一環として行われるものであり、大学が教育実習の全般にわたり、学校や教育委員会と連携しながら、責任を持って指導に当たることが重要であるとしております。  一方、母校での実習は、母校で行われることが多いわけですが、比較的大学から遠隔地で行われることが多く、このような場合の大学の指導体制をどのように確保するか、また、卒業生を受け入れることになるため、その評価の客観性をどういうふうに確保するかといった課題があるとされています。  このため、文部科学省では各大学に対し、大学から遠隔地にある学校や学生の母校における教育実習ではなく、可能な限り大学などが所在する近隣の学校において実習校を確保することが望ましく、地元教育委員会や学校との連携を進め、近隣の学校における実習先の確保に努めるということを進めているところでございます。  こうしたことを受け、県教育委員会では、令和3年度から富山大学と連携しまして、主に附属学校で実習を実施する教員養成学部以外の学部の生徒さん、理学部などの学生の方につきまして、県内出身者のみならず県外出身者についても、富山県内の公立中学校や高等学校で教育実習を行えるように受入れの調整を行っているところでございます。令和3年度は83名、令和4年度は69名の学生さんを公立中学校、高校で新たに受入れをしたところでございます。  委員御指摘のとおり、教員確保の観点からは、県外出身者など幅広い層に本県の優れた教育環境や各市町村教育委員会の特色ある取組を知っていただき、実習先として選んでいただくことは重要なことだと考えております。  今後、ホームページを活用した積極的な情報発信などについて、工夫をして取り組んでまいりたいと考えております。 113 奥野委員 今ほど教育長からも紹介いただきましたけれども、最近はやはり母校実習だけではない、いろんな取組を文科省が推奨しているという背景がありまして、県外では、母校での受入れ以外に学生の受入先を探しているというような、調整がなかなか難しいといったような状況も特に首都圏のほうでは出てきていると伺っています。  ということは、本県と何のゆかりもない学生に対して、富山県の教員採用選考検査を受けてねと働きかけることの効果が出ないということは、これまでにも分かっているわけでありまして、教育実習の受入先を探しているよという特に首都圏だったり、そういう難航しているような他県に働きかけるということは、特に富山の受皿を用意していろんな学生を呼び込むという意味では、大変有意義なのではないかと思います。  本県の教育実習、教育環境を体験してもらって、卒業したら富山県で教員になりたいと思ってもらえる取組をどう拡充していくのかという視点で質問を続けていきます。  県内外から広く教育実習を受け入れるとなりますと、県外在住の学生はもちろん、県内にいても、実家や住んでいるアパートから通えない距離の学校を希望する学生も出てくるということが予想されます。それらの学生を受け入れるためには、実習期間に滞在する宿泊先が必要になります。例えば、地域と連携をしてホームステイで教育実習生を受け入れたり、教員宿舎を活用したりすれば、実習先の地域との関係も深まって、卒業後に本県に戻ってくる動機になる、そんな可能性もあるのではないかと思っています。  学生が希望する場合には、地域と連携をし、ホームステイや教員宿舎等を活用していくということも含めて、教育実習生の受入れを促進すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。 114 荻布教育長 先ほど御紹介しましたが、富山大学と連携して、県外出身者も含めて、公立中学校、高校への調整を行い始めたというところでございますが、その場合、県外出身の学生が県内で教育実習を行う場合には、学生が実習校へ通う負担を軽減するために大学側と連携を図って、学生の居住地に近い学校を実習受入れ校となるよう調整するなどはしてきているところでございます。  実習の実施先などにつきましては、先ほども述べましたが、文部科学省から可能な限り、大学等が所在する近隣の学校において実習校を確保することが望ましいとされているという、そういった課題もございます。  しかしながら、本県出身ではない県外大学生が県内の公立学校で教育実習を行うことができれば、富山県の優れた教育環境を肌で感じてもらい、富山県で教員を目指す動機づけにもつながる絶好の機会になると考えられます。  このことから、委員御指摘のとおり、今後は県内への移住促進といったような視点も持ちながら、県外からの教育実習生の受入れについて、その実施に向けた方策について、大学や市町村の意見もお聞きし、また地域の状況なども調べながら、連携して研究をしてまいりたいと考えております。 115 奥野委員 多分、私たち同じ資料を見て話をしているんだと思うんです。これ、「教職課程の質的水準の向上」という、文科省が出していて、中教審が取りまとめているんですかね、資料があって、確かに、なるべく母校実習は避けて、大学側の対応がしやすい、大学のそばでというような、こういう文言を書かれているのですけれど、その後ろがありますよ。一方、教員が自ら教職に就くことを希望する所在地で実施をしたいという積極的な理由があれば、そういう実施を行うように柔軟に対応することが適当であると書いてあるわけです。最初の前段だけをうのみにすると、教員課程のある大学がない県というのは全然教育実習の受入れがなくなっていって、全然教員採用選考検査を受ける人がいなくなると、こういうループに陥るわけで、ここはきちっとこの意図するところを読み取って対応する必要があります。  県内の教育実習の受入れというのは、結局、今の答弁でも、富山大学を除くと、母校での教育実習を受けるケースが富山でも多いので、それを県外に流出させろとは私は一つも思いませんが、ただ問題なのは、富大以外の学生がこの富山県内で実習を受けようとすると、学生と受入れ側の学校が個別に調整しているというのが一般的です。ここには、市町村教育委員会を含めて教育委員会は関与していないと聞いています。  実際に、県内で何人の教育実習生をどこの学校で受け入れているのかという、こういうことを調査にかけるまで、教育委員会はこの実態を把握していませんでした。結果的に、各学校でどのような実習が行われているのか、実習を受けた学生がどんな感想を持ったのか、そしてまた、県内で実習を受けた学生が富山の教員採用選考検査を受検したのかどうか、このことも把握できていませんでした。それが私は、やはり教育委員会が関与していないことの問題点だと思っているのです。  県内出身者に対しても、母校以外の例えば中山間地域の小規模校や、特色ある取組をしている学校等の情報提供はしていませんし、学生のニーズに応えるような教育実習先というのは提供できていない、こう認識しています。  ましてや、県外出身者で、県外の大学に在籍をする学生が富山県内の教育実習を受けることは、現在のスキームでは困難です。それこそ先ほど答弁なさったような、ホームページ等で発信しますといっても、学生が個別にやり取りしなくてはならなかったり、どうやって宿泊先を確保するかといったようなときには、やはり今のやり方では現実的でないのです。  ですので、教育実習の質の向上や教員採用選考検査の受検につなげていくというためには、受け入れる学校に任せきりにするのではなくて、県教育委員会や市町村の教育委員会がもっと積極的に関与しなくてはなりません。  文部科学省では、都道府県ごとに課程認定大学──教職課程がある大学ということだと思いますけれど、この課程認定大学や教育委員会、そして知事部局、さらに公私立学校の代表により構成する教育実習連絡協議会を設置して、実習受入れ校や受入れ人数の調査、また受入れ校の調整を行うとともに、学習内容や指導方法についても協議するように求めています。  本県でも教育実習連絡協議会を設置して、本県で教育実習を受けようとする学生の希望に沿った学校を紹介する、受入れの調整をする、さらには、教育実習の感想や学生の目から見た教育現場の改善点を丁寧にヒアリングする等、実習後もコミュニケーションを取ることで採用選考検査の受検につながるようなアフターフォローをすべきと考えます。教育長の所見を伺います。 116 荻布教育長 教育実習についての調整、協議を行う場としては、本県ではこれまでは、富山大学が設置します富山大学人間発達科学部教育実習運営協議会というのがありまして──富山大学、県教委、また受入れ学校などで構成しておりますが、この運営協議会において、毎年、教育実習の履修状況の把握や実習内容の検討、また受入れ可能数の調整などが行われてまいりました。  さらに、昨年度からは教員養成学部以外の学生の教育実習実施につきまして、県教育委員会で受入れ調整を始めたというのは先ほど申し上げたとおりでございます。  志願者の確保という観点からの教育実習生への働きかけということにつきましては、これまでは、実習受入れ校を通じて、本県の教員採用パンフレットや願書の配付、教員養成講座「TOYAMAてぃーちゃーず'カレッジ」の案内とともに、指導する教員からの声かけなども行ってきておりますけれども、御指摘のとおり、実習生とのコミュニケーションをより深めることが今重要になっているのだろうと考えます。  今後は県教育委員会として、新たに教育実習のアンケートを実施しまして、実習生の生の声を、より充実した教育実習や教育現場の改善につなげるということを図るとともに、これまで志願者に対して行ってきたツイッターなどでの情報発信を、希望する実習生に対しても行うなどして、本県教育を担う人材の確保に努めてまいりたいと思います。  また、教育実習に関する志願者の確保の視点も踏まえた、より円滑な調整、協議の在り方については、関係大学や受入れ校などの意見も踏まえて、今後検討してまいりたいと考えております。 117 奥野委員 教員を志す学生とのコミュニケーションを密に取って、長くやり取りをしていくことで、受検や教員採用後の仕事にもつなげていってもらう、この重要性というのは多分共有していただいたと思います。  ただ、ちょっと指摘をしておきたいのが、やはり教育実習連絡協議会の必要性です。先ほど教育長は、富大とは教育委員会も入っていろんな調整をしていますよとおっしゃられました。富山大学の取組や、教員養成にかける熱意みたいなものは大変ありがたいことだと思いますし、この取組は評価をしています。  けれども、冒頭にもありましたとおり、教員採用選考検査を受ける志願者数というのは、もうこの10年で4割減っているんですよね。さらに、選考検査を受けている人も、もっと言えば教育実習を本県で受けている学生も、全員富大なわけではないんですよ。さらには、もっといろんなところから呼び込まないといけないよねと言っているので、富大だけやっていても駄目なんですよね。  もっと言うと、文科省はこの教育実習連絡協議会の設置についてどう言っているかというと、各都道府県ごとに設けなさいと言っています。その中には、先ほど教育長は大学であったり、教育委員会であったり、市町村教委であったり、また関係のところというような答弁だったと思いますけど、これは書いてあるものをそのまま読むと、教員養成系の大学、学部や教育委員会はもとより、なので先ほどの教育長の答弁のところは最低限で、さらに公私立学校、先ほど私も質問のとき触れましたが、さらに知事部局、ここも参画して都道府県ごとにつくるべきだと言っているんです。  1つの大学の中だけで調整するのではなくて、教育実習の内容や受入先や、実習の内容の充実は、こういう知事部局も入った連絡協議会で協議を進めて取り組んでいくべきだと言っているわけです。  ですので、ここの進め方というのは、各都道府県ごとにそういう組織をしっかり作らないといけないんですよということについては、改めて認識を共有していただきたいと思います。  次に、教育実習の仕組みについて調査をしていると、教育実習生を受け入れる際に、大学から委託費という名目で金銭を徴収している学校があることが分かりました。県立学校では、この委託費等は徴収をしていないと聞いていますが、市町村立の小中学校では、私が確認しただけでも、1人当たり最大2万円を徴収している学校がありました。この徴収金額は受入れ側の学校で決定をしているとのことです。  これらの委託費の使途としましては、教材作成費に伴う消耗品費と聞いているのですけど、学校によって無料のところと1人当たり2万円のところがあるというのは、ちょっと腑に落ちないと思っています。また、必要な経費として委託費を徴収すること自体に問題があると言っているわけではないのですけど、統一された基準がないということ、受入れ学校任せになっているという現状は改めるべきものです。  まずは、先ほど設置を求めた教育実習連絡協議会でしっかりと必要経費の基準額を定めるべきです。さらに、定めた金額を県教委、市町村教委にしっかりと示す。その上で、基準額の一部または全部を、県が補助して大学の負担を軽減してもらえれば、大学からも本県での教育実習を後押ししてもらえるようになるという効果もあるのではないかなと。そうすれば、実習生の確保にもつながるのではないかと考えています。  教員を目指す希望に満ちた学生が一人でも多く本県に教育実習に訪れるように、大学に支援することについて知事の所見を伺います。 118 新田知事 私どもの調べたところでは、今の実習生受入れに関する経費を受け取った学校というのは、県立学校ではなくて小学校、中学校で、256校のうち26校で受け取った学校があるということであります。割合としては1割ぐらい。大変少ないです。  委員おっしゃるように、統一されていないということは1つ課題だというふうに思います。それを連絡協議会で調整する必要があるということも、私としては賛同したいと思います。  ただ、その委託費を補助することがいいのか、あるいはほかにもいろいろと実習生の受入れを増やし、そして学校側にもモチベーションが上がるようなやり方というのはあるんだと思います。その委託費のことも含めて、いろいろと考えてみたいと考えます。 119 奥野委員 いろんな大学や学生の支援という方法については、確かにいろんなやり方、選択肢があるのだろうと思います。いろいろ考えてみていただきたいと思います。  ただ、今回この委託費を払っているような大学に対して、大学を支援しますよという姿勢を打ち出せば、大学側は富山県も実習先として応援してくれるいい県じゃないかと、こんなふうにつながるのではないかということで、提案をした次第であります。  教育実習生を受け入れる学校側にも負担というのは生じるだろうと思っています。教育実習生を担当する指導教員においても、児童生徒以外に実習生を指導する分、負担が大きくなるという話も聞いています。  今ほど協議会の設置なり、協議会で一律の金額の基準を検討するということについては、必要性について知事から賛同していただいたと思いますけれども、協議会ができても現場の協力というのは必ず必要なわけでありまして、その現場の協力なくしては、やはり教育実習生の受入れ、また充実した実習というのはできないと思っています。  受入れ学校や教育実習の担当指導教員の負担というものも鑑みて、例えば、受入れ人数に応じて受け入れた学校や担当の指導教員にインセンティブを与えるような取組、これはモチベーションを上げる意味も含めて必要なのではないかと考えますが、教育長の所見を伺います。 120 荻布教育長 県立学校において教育実習生を受け入れるに当たっては、受入れに伴う様々な業務の負担は生じますものの、教員にとっては自らの後輩となる人材の確保の一助になるとの思いから、積極的に協力してもらっております。また、実習に係る諸経費については、通常の学校運営のための県費の中で賄ってきているところでございます。  この県立学校運営のための県費については、これまでも各学校で予定していなかったような新たな費用負担が生じた場合などには、教育委員会が全体の予算の中で調整をし、予算配当を行っております。  このため、教育実習により新たな費用負担が生じる場合にも、教育委員会において調整をして、優先的に運営費を配分するなど、各学校が積極的に安心して実習生を受け入れることができるように対応について検討してまいりたいと考えております。  また一方、市町村の小中学校においても、人材育成確保の観点から積極的に実習生の受入れをしていただいております。これに対して御発言いただきましたとおり、それぞれの学校の実情に応じて、市町村の公費のほかに大学から実習に係る経費を徴収する例があるというところでございます。  これにつきましては、今後、実習生の受入れについて学校現場がどのようなことを求めているのか、市町村教育委員会とも十分話し合い、意見を聞いてまいりたいと考えております。 121 奥野委員 ぜひ現場の学校が求めているもの、しっかりと聴取をいただいて、それの支援策を検討いただきたいと思っています。  私が今求めたインセンティブというのは、予算だけのことではないと思うんですよね。例えば、今、学校に対しては、そうやって予算措置をしっかりしますよと、ちゃんと安心して教育実習を受け入れてもらえるような体制を整えますよという答弁だったと思っているのですけど、やはり担当の指導教員の負担などこういうものも鑑みると、皆さん、自分たちの後輩を育てるというようなやりがいなど、後輩の指導みたいなものに情熱を燃やして、その気持ちだけでこの負担を全て受けてくれているというのが実情です。  ですので、それでも大変ありがたいことですけれども、そういう指導教員の先生方が、何かモチベーションが上がったり、もっとそういう活動も評価してもらえるなど、そんなインセンティブがあればなおよいと思っておりますので、そういうものも予算以外の部分も含めて検討をいただきたいと思います。  次に参ります。  今ほど、教育実習生の受入れに係る委託費というものについて取り上げました。この委託費について調査をする中で、先ほど知事の答弁の中では、委託費を受け取っていたのは小中学校26校だったという答弁ですけれども、この委託費の会計処理に問題がある学校があるということも分かりました。  まず整理しておきますけれども、各学校では2種類の会計処理が行われています。1つ目は、当初予算など、知事や、市町村教委においては市町村長が編成し、議会が承認した公会計です。  2つ目は、保護者等から集金をする給食費や校外活動等の費用を管理する公費外会計、いわゆる私会計です。給食費などの公費外会計は、特定の目的のために集金をし、その金額全額を支払いに回すという原則から、文部科学省もこういうものを持ってもいいよと認めていて、外部監査を義務化していませんでした。  しかし、調査の結果、市町村立の小中学校の中には、この教育実習の委託費や地域からの寄附金等も公費外会計で処理をしている学校があり、残高が50万円を超えているような学校も見つかりました。  寄附を受けたらいけないということではなくて、同じ寄附でも、備品で受けた場合には、これ、会計規則にのっとり備品台帳で適切に管理され、監査委員の監査対象にもなりますが、この公費外会計はいわゆる公費が含まれておりませんので、現金で受け取った場合は監査委員による監査の対象からも外れます。仮にこれが知事部局であれば、委託費はもちろん、寄附金であっても全て一般会計や特別会計に繰り入れられて適正に処理をされます。  公的な機関でありながら、教育実習生の受入れを理由に大学から委託費を徴収し、また県民等からの寄附を受けているにもかかわらず、一切公にならないブラックボックスの状態というのは異常です。  今述べたような不明瞭な会計は、県立学校では行われていないと聞いていますけれども、県内の学校でそのような実態が把握をされないまま放置をされてきた状況は看過し難いものであると思っています。  県内の学校における公費外会計の令和3年度の年間収支額、それから令和4年度への繰越しの合計金額について教育長に伺います。 122 荻布教育長 学校においては様々な活動を行うために、例えばPTAや同窓会など、関係団体からの委任に基づいて学校が徴収するいわゆる団体会計や、活動などに必要な実費を徴収するいわゆる徴収金会計──これは御紹介あったような給食費や、修学旅行積立てなどです。そういったものですが、このような公費外会計を取り扱っております。  これらについては、県立学校においては学校長の管理の下、団体会計では委任団体による監査、徴収金会計では学校内で監査を毎年行うとともに、保護者に対し決算報告を行っております。  また県立高校では、県教育委員会が示すガイドラインに基づく学校ごとの要綱をつくりまして、これにより会計処理や校内外の監査を毎年実施しております。また、県教育委員会が毎年計画的に学校を訪問しまして、会計処理の確認や取扱いに係る聞き取り調査などを行っております。  お尋ねの県立高校の令和3年度の公費外会計の年間収支状況ですが、取扱いが保護者であったり学校であったり、それぞれで異なる部活動に関するものを除きまして、県立高校39校全体で625の会計があり、収入額の計は約27億円、支出額約17億円で、繰越金は約10億円となっております。  また、小中学校における公費外会計の取扱いについてですが、これは各学校や服務監督者である市町村教育委員会において、適正に運用するとともに、委任団体や保護者への決算報告などにより管理監督されるものと考えており、その詳細な状況についてはこちらのほうでは把握はしておりません。  いずれにしても、学校で取り扱う会計は適切な運用だけではなく、資金を拠出される方に対する説明責任を伴いますことから、透明性の確保は必要ではないかと考えております。こうした認識について、市町村教育委員会と共有をしまして、適切に運用されるように努めてまいりたいと考えております。 123 奥野委員 県立学校に関しましては、教育長おっしゃるように、県費外会計等の取扱いに係るガイドラインというものをつくっていただいておりますので、私もそれは目にしております。  幾つかの県費外会計の中で、団体会計、PTAや同窓会は特にそれぞれの組織の中でも総会を開いて会計の監査をやっておりますので、必ずしも確かに学校の中でやらなくても適切な運用がされるものと理解をしております。  ただ、今ちょっと私が気になるのは、市町村については、市町村教委で適切に運用されるべきものだというような答弁でありましたが、少し見解を伺いたいと思います。  私は今ほど説明をいたしました。この公費外会計、いわゆる私会計の中に、教育実習の委託費をそこで受けているとか、それから、地元、地域、地域住民などからの寄附金をこの私会計で処理している市町村の学校がありますと。あることは、私の調査の結果として、既に資料も教育委員会にお渡しをしたと思います。その会計のそういうやり方について、教育長は適切だと思われるでしょうか。ちょっと所見を伺いたいと思います。 124 荻布教育長 教育実習などに係る委託金の受入れなどについては、県立高校では実施していないということを申し上げましたが、市町村におかれまして受け取っている学校もあるということですけれども、その扱いにつきましては、実際どういった受入れをしてどういったことに使われているかということも詳細に承知をしておりませんので、確認の上、今後適切な助言に県教委としても努めていきたいと考えております。 125 奥野委員 繰り返します。私の調査では、市町村の小中学校においては、こういう教育実習の委託費について、私会計の公費外会計で処理をしていますと回答している学校があります。地域の寄附金を私会計で処理していますと回答している学校もあります。さらに言うと、例えばそこの残金は50万円を超えていて、校外の監査は受けていませんと回答している学校があります。これが適正かどうか、教育長の所見を伺います。 126 荻布教育長 今ほど御紹介いただいたようなことが、実際そういった運用がされているとすれば、本来はやはり公費に繰り入れていくというのがあるべき姿ではないかと考えます。 127 奥野委員 私もそうだと思います。それで、やはり学校における公費外会計、私会計の不適切な利用というのは、全国でこれまでにも問題になってきています。当然、皆さん御存じだと思います。  令和元年7月に、文部科学省はこれまで認めていた給食費や校外活動費の公費外会計を、公会計化並びに地方公共団体による徴収を基本とすべきと通知をしています。この公費外会計の公会計化と地方公共団体による徴収というのは、給食費等の徴収や管理に追われる教員の負担軽減、そして会計の透明化、この両面から通知されたものであります。  これが実施されれば、この学校単位で寄附を受けて、もしくは委託費を受けて、公にされないまま何に支出されているか分からないという不明瞭な会計処理は是正されます。監査も適切に受けることになります。さらには教員の負担軽減につながります。  教育委員会は県費外会計等の取扱いに係るガイドラインを持っていますけれども、これを通知に従って見直し、また同時に、教育長がさっきおっしゃられたように、こういう公費外会計についてガイドラインを持っていない、適正運用されていない市町村教委とも情報共有しながら、県内全ての学校でやはり学校の公会計以外の運用を是正していく、早急に改善を図るべきと考えます。教育長に所見を伺います。 128 荻布教育長 徴収金会計を含めた公費外会計につきましては、先ほども御答弁いたしましたとおり、県教委ではガイドラインを示しまして、各学校で会計運用の適正化を図りまして、会計の透明性を確保し、説明責任を果たすように努めているところでございます。  一方、市町村教育委員会でのガイドラインの整備状況でございますが、独自に定めているのは1自治体のみという状況でございます。  小中学校での公費外会計の適正化については、各学校や市町村教育委員会が責任を持って対応すべきものではございますが、公費外会計の適切な運用と会計の透明化というのは、いずれの学校でも必要なことだと考えることから、今後、県教育委員会のガイドラインを情報提供いたしまして助言に努めるとともに、管理職向けの研修において引き続き適切な運用について指導をしてまいりたいと考えております。  なお、平成31年の文部科学省通知で、給食費の徴収管理は教員の働き方改革の観点から、公会計化及び地方公共団体による徴収を基本とすべきとされております。  しかしながら、公会計化には新たな徴収金管理システムの導入や、事務局体制を構築することなどが必要となりますことなどの課題があります。  こうしたことから、県内では、今年度から1町において公会計化されておりますが、多くの市町村では検討中または今後の検討となっている状況でございます。  また、学年集金など、学校や学年ごとの集金額が異なる会計については、さらに公会計化が難しい課題もございまして研究が必要でございます。
     今後とも、学校現場や市町村教育委員会からの意見、要望もお聞きし、働き方改革や会計の透明性の観点を踏まえて、運用の改善に向けて検討をしてまいります。 129 奥野委員 通知は令和元年の7月31日であります。これは各都道府県知事、また各都道府県教育委員会の教育長宛て、そのほか政令指定都市宛てに出ていますので、県内は15市町村、直接はこの通知は出ていないんですね。ですので、注意書きにも書かれていますけれども、都道府県教育委員会においては、域内の市町村教育委員会並びに市町村長に対して、公会計化等の促進について周知を図るとともに、適切な事務処理が図られるように配慮するべしと書いてありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に行きます。教育実習生の受入れに戻ります。  教育実習生の受入れ学校は、実習生に対して給食費の実費負担を求めています。これは全ての学校が徴収していると認識をしています。  しかし、現在、急激な物価高騰や学生の貧困等が社会問題となっています。ですので、本県の教育実習を受ける学生に対しては、給食費の補助をすることで教員を目指す学生を応援しますと、こういうのもいいんじゃないかなと思っています。  今年度の受入れ予定の教育実習生の人数は362人と聞いていますので、これで計算すると、給食費は大体200万円程度です。これで直接教員志望者に応援メッセージを届けることができるというのは、費用対効果からすると結構いいんじゃないかと思います。  その上で、先ほどから求めているように、来年度から特に全国に教育実習生受入れのための情報発信をするということになれば、富山県で教育実習をする学生は費用が一切かからないというのは大きなインパクトにもなろうかと思います。知事の所見を伺います。 130 新田知事 学校給食というのは言うまでもなく、栄養バランスが取れた、そして豊かでおいしい食事を提供できるように、各市町村あるいは小中学校等で献立が工夫をされています。調理施設設備や人件費は設置者の負担においてなされておりまして、給食費は食材費として1食300円程度の、今の世の中では1食の代金としては比較的低廉な価格で設定をされています。教員の皆さんも給食費を払っています。教育実習生も実費として、児童生徒と同額の給食費を食数に応じて支払うことになっています。  子供たちと一緒に給食を共にし、おいしい給食を低廉な価格で食べることができ、それ自体が学生にとっても、経済的にも、教育実習における貴重な経験としても、私は十分魅力的で意義深いことであると考えています。  通常の民間企業のインターンシップと違いまして、これは教員という仕事に自分の人生をかけるかどうか。それを実際に体験する場であるとともに、教職を執る上での過程の一つであるんですね。ですから、ここはやはり生きた教材、給食というのは生きた教材だと私は思います。これを自分の自腹で払って、それは決して法外な値段ではないわけですから、300円という大変に適度な値段だと思います。自腹を切って払って体験をするという経験は私は大切なことだと思いますが、委員の御提案ですので、この給食費を負担することがどれぐらいに実習生、また大学が富山県を実習の場として選んでくれるかということに寄与するかどうかは考えてはみたいと思いますが、先ほどの質問でもお答えしたように、もっといろんな実習生や大学が富山県を選ぶような方策は知恵を絞れるのではないかと思います。 131 奥野委員 そのいろんな方法を私も少しずつ提案しているつもりであります。やはり給食費の300円の値段にこだわるわけではなくて、学生を応援するぞというメッセージ、この姿勢の打ち出しが大切だと思います。  今回、給食や給食費についても調査している中で、教員になると、最大で40年近く給食を食べ続けることになるということに気づきました。県庁の職員の方は、皆さん昼食の時間になれば、自由に食事に出ることもできれば、好きな食べ物をテークアウトしたり、お弁当でも自分の好みのものを詰めて持ってくるということもできます。昼食の時間というのは1つ職員の楽しみにもなる時間だと思います。  民間企業でも、選ばれる職場のために社員食堂を充実したり、大学においても社員食堂をカフェテリア──もうすごいおしゃれなカフェみたいにして学生の獲得につなげようとしているところもあります。  当然、給食は児童生徒の健やかな成長を支える重要な柱で、栄養バランスもそうですし、生産者の仕事への理解や感謝など食育の観点からも、施策の充実が図られてきています。  ただ、やっぱり給食を食べるのは、今ほど知事もおっしゃいましたけれど、子供だけではなくて働く教員、大人も一緒でありますので、職場環境をもっとよくするということに、この給食投資というのもつながるんじゃないかと思います。  市町村が学校給食の充実のために、いろいろ取組をしていただいています。教員の確保のための環境整備という視点を加えて、県も市町村の取組を一層支援すべきかと思いますが、知事の所見を伺います。 132 新田知事 やっぱり胃袋をつかむというのは、職場にとっても、また家庭生活にとっても大切な要素だと思い、大変によい提案だと思いますが、これまでも県内の小中学校では、地元で獲れるベニズワイガニや、ホタルイカや、ブリなど、そんな新鮮な、また名産とも言えるような食材を使った給食を出してみたり、昨年度オリンピックイヤーには、五輪に参加する国や選手を応援する記念給食、あるいは友好都市の周年記念にちなんだ国際色豊かな給食など、様々な工夫を凝らして魅力ある給食を提供しようと、限られた予算内で異論なく工夫はしており、子供たちはもとより、教職員にも好評であると聞いております。  毎日8万人の人が給食を食べています。年間約200日であります。それを本当に限られた予算の中でやりくりをしているという努力、これは引き続き続けなければならないと思います。今後も魅力ある学校給食、胃袋は大事ということで、市町村への支援に努めていきたいと考えます。 133 奥野委員 ここまで順を追ってきました。教員の採用を全て県教委が一手に請け負っているわけです。ここまで議論を深めてみての教育長の意気込みを伺います。 134 荻布教育長 教育実習は、学生にとっては学校現場での教育実践を通じて、自らの教職への適性や進路を考える非常に貴重な機会でございます。教員を志願するかどうかを選択する上での大きな役目を担う機会であります。  また、大学側は、教員を志す者としてふさわしい学生を責任を持って実習校に送り出すということ、受け入れる実習校側は、教育実習を通して、その学生の教員としての適性を見極めるという重要な役割がございます。  このように、教員を進路選択の一つに考える学生にとっても、また教員を採用する教育委員会にとっても、教育実習は非常に重要な位置づけであり、学生には本県教育の魅力ある教育現場を伝えるとともに、授業実習や学級運営など、できるだけ多くの場面を経験することで、場合によっては幾つかの困難にもあえて直面してもらうということも含めて、学生にとって本当に真に充実した教育実習になることが望ましいと考えております。  その一方で、近年、新規採用教員が実際の学級運営と実習での経験の違いに戸惑うといったことも多いと聞いております。こうしたことから、任命権者である県教育委員会が、これまで以上に積極的に教育実習生の把握や支援を行うことは大切であると考えております。  先ほども御答弁申し上げましたが、今後アンケートで教育実習生の生の声を聞くなど、教育実習の状況を詳細につかみ、富山県での採用につなげていけるよう、学生にとってより充実した教育実習となるよう、また採用前後の研修内容も充実させるなど、学生の目から見ても魅力的な教育現場となるように努めてまいります。 135 奥野委員 今まで順を追って、全国からもっと教員実習を受け入れたらどうかと言ってきました。ただ、教育委員会だけではなし得ない取組というのもあります。ぜひ知事部局の支援体制を充実してほしいと思います。知事の後押しを求めます。 136 新田知事 教育人材の確保に向けて、全国的にも志願者数が減少する厳しい環境でありますが、これまで県教育委員会では、「とやまで教員」応援事業を立ち上げ、優れた教員を安定的に確保するために、教職UIJターンセミナーあるいは教員養成講座などを実施してまいりました。新たに若手教員によるリクルーター活動も実施し、富山県内だけではなく全国に向けたPR活動や、採用選考検査における受検者増も図るなど、大幅な見直しを行ってきました。  また、喫緊の課題である教員の働き方改革の改善に向けて、とやま学校多忙化解消推進委員会も設置、教員の意識改革や業務改善を進めるとともに、部活動指導員などの地域・専門人材の活用にも積極的に取り組んでおります。これからも教員採用に向けて、より一層実効性のある取組を継続してもらいたいと願っております。  また、御指摘のありました教育実習生への給食費などの教育実習に要する経費の支援の在り方につきましては、今日もたくさん御提案をいただいたところですが、今後、教育委員会と共に知事部局も入りまして、十分に検討してまいりたいと思います。  まずは教育委員会において、これまで以上に教員を養成する大学や市町村教育委員会と密に連携を取りながら、積極的に実習機会の確保、実習内容等についての共通理解や周知を図り、より一層円滑に実習生を受け入れる仕組みを整える体制づくりを進めてもらいたいと願います。  教員人材の確保に向けては、県としても富山県の魅力を伝える広報やUIJターン、移住促進事業などにおける情報発信や相談などの強化、また教育委員会との一層の連携を深めて、富山県教育の充実、発展を後押ししてまいりたいと考えますし、また、基本的には、今政策の柱に据えております県民のウエルビーイングの向上、これがひいては富山県の魅力を高め、そして富山県で働こう、富山県の教員をやろう、その前に実習を受けよう、このような人が増えることにつながると信じて進めていきたいと考えております。 137 奥野委員 ありがとうございました。 138 永森副委員長 奥野委員の質疑は以上で終了いたしました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                      午後3時05分休憩                      午後3時15分開議        米原蕃委員の質疑及び答弁 139 武田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  米原委員。あなたの持ち時間は60分であります。 140 米原委員 質問させていただきたいと思いますが、代表質問に始まりまして、一般質問、そして予算特別委員会、最終の質問者ということでありますけれども、しっかり務めていきたいと思います。  今回、私は後ろに席を用意していただいておりますけれども、周りには女性ばっかりでありまして、大変緊張して実は座っておりました。うれしいというか、わくわくといいますか、どきどきといいますか、そんな感じで座っておりました。そういう中でここに立っているわけでございますが、しっかりと質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  まず最初に、地方創生を担う人づくりについてお尋ねをしたいと思いますけれども、今回、非常に教育問題に関する質問が多いという感じがいたします。それだけやっぱり皆さん関心が高いと思いますので、私もこの問題について少し触れてみたいと思います。  ここ数年のコロナ禍によって、学校行事や体験活動などが制限されました。子供たちの学びに大きな影響が出ていると感じます。現状をどのように認識されているのかということについてお尋ねしたいのであります。  学びの機会が失われているのではないかと思います。子供たちにとって、入学式、卒業式、それから修学旅行だとか、こういった様々な行事があるわけですけれども、皆さんも御承知のとおり、入学、卒業というのは非常に思い出深いセレモニーの一つだと思います。私も中学校のときに本当に寂しい思いをしたことも、今なお当時のことをよく覚えているわけでありますけど、修学旅行もそうですね。昨今、入学式や卒業式はセレモニー化されてオンライン化されている。こういう状況で子供たちが様々な制約を受けているのを大変残念に思っているわけです。  特に修学旅行というのは、私の場合はもう六十何年前の話ですけれど、大阪、京都でした。奈良も行きました。寺巡りです。その中で、宝塚へ行ったんですね。それがいまだに一番印象深い思い出として残っています。全部女性だということは知りませんでした。実はそんな体験をしたことがございます。  今はホテルですけど、当時はホテルではなくて旅館でした。したがって、布団を敷いてみんなごろ寝して、がやがや朝までやっていて、枕を投げたり、布団を蹴っ放したり、相撲を取ったり、そういうことが子供たちが育っていく環境をつくっていくんですね。  こういったことが今、子供たちの世界には全くありません。まして先生と子供たちとの関係もマスクをして会話をしなきゃならない。ここから上しか見えないという。こんな現状で果たして皆さんとの人間関係というのは、何といいますか、成長過程というのは見えるのかなと大変心配をしております。  これはコロナでこうなってしまったのですけれども、このコロナ禍の中で子供たち同士の表情が見えない。成長がどんなふうになっているかということも見えにくいことについては、今、学校でいろいろなことが検討されていると思いますけれども、こうした状況について、今どのようにこの影響と対策について検討していらっしゃるか、まず最初に荻布教育長にお伺いしたいと思います。 141 荻布教育長 御指摘のとおり、学校行事や体験活動などは、人との関わりを通じて生きる力を身につけるための有意義な教育活動でございます。  学校現場では、コロナ禍による制限の中でも、子供たちが充実感を味わい、行事の意義や狙いに沿った有意義な活動ができるよう、実施内容について児童生徒がアイデアを出し合ったり、行事の運営を児童生徒が主体となって行ったりするなど、創意工夫に努めております。  今年度に入りましてからは、多くの学校で通常に近い形で、例えば県内への修学旅行や遠足などの学校行事が行われるようになってきております。  御指摘のありましたとおり、マスクの着用によって表情が見えにくいこともありまして、コミュニケーション力の低下などが危惧されております。学校では実情に応じて、体育館などの広い場所を利用して、マスクを外して歌を歌ったり、フェイスシールドを着用してお互いの表情を見ながら学び合う機会を取り入れたりするなど、子供同士、また子供と教員の関係が深まるように工夫をしております。  なお、県教育委員会では、先日発出された国の通知に基づき、熱中症対策を優先し、体育の授業や運動部活動、登下校時はマスクを外すということについて、学校で適切に指導されるように通知をしたところです。  教育委員会としては、感染対策に関する情報を的確に把握するとともに、各学校での工夫した効果的な取組について広く情報提供するなど、子供たちの学びの保障に努め、学校生活が少しでも有意義で充実したものとなるように支援をしてまいりたいと考えております。 142 米原委員 やっぱり顔を見て、姿を見て子供というのは学んでいくと思うんですね。表情を見ながら学んでいくことになると思うのですが、こういったことが最近どんどん少なくなってしまっているということが大変心配です。  こんなこともありました。今回、少子化の問題や教育の問題等々、随分いろんな方々がお話をされましたけれど、今、コロナ禍の中で出生率が大変低いと。ずっと低いんですけど、さらに低くなったということが言われています。  そこで、今赤ちゃんが生まれて、マスクをして子供さんを育てる方、親としてそういう方が多いと思うんです。赤ちゃんはマスクしているということは分かりません。マスクだということも分からない。親の顔も分からない。おっぱいを飲みながら、毎日の生活をしながら育っていく中で、子供が少しずつ大きくなって、そして成長していくわけです。  あるとき笑ったり、いろんなことで子供が育っていく中で、子供の表情が変わっていく。だけど、お母さんはマスクをしている。ある日、お母さんがマスクを取ったら、泣きやまなかったという話です。お母さんということが分からない、マスクしか見えていないわけです。赤ちゃんはマスクということは分からないですよ。  そういうことがあって、それで子供が育つかなと。お母さんの表情だとか、いろんな言葉をかけたり、あるいは態度や姿を見て子供は育っていくものでありまして、こうしたことが今おろそかになっていることについては極めて残念と言うしかないわけで、これはそれぞれのお父さん、お母さんの考え方といいますか、さっきの教育でないけど、こうしなさいということは言えないけれども、そういうことも考えてしっかりと対応していかないと、本来の子供というのはなかなか育たないのではないかなと思います。そういった点も、ぜひひとつしっかりと受け止めていかねばならんということを申し上げたかったわけです。  さて、今回もう一つ、教育問題についてお話を申し上げたいことがございます。  本県の高等教育課程について、地域の特色を踏まえつつ、産業界や時代のニーズ、中学生の進路希望状況などをしっかりと把握した上で、どんな人材を育てていくのか、どうすれば地域で活躍する人材を育成できるのかということを議論しながら、ダイナミックに、かつスピード感を持って在り方を検討する必要があると思います。  そういう中で、ここ五、六年前でしょうか、富山県の人口減少の中で高校を統合するということが、ちょうど私が教育警務委員会にいた頃の話ですから、もう四、五年前のことだと思います。  そのときにまず入ってきたのは、大沢野工業高等学校が富山の富山工業高等学校と統合するという話。もう一つは、高岡の二上工業高等学校が高岡工芸高等学校と統合する話。4つが2つになったという話です。あれが統合の問題の最初でした。人口が少なくなったから統合するという話です。その次に出てきたのは、新川の泊高校の話、そして水橋の高校の話、そして高岡の西高校、そして南砺の福光高校という、8つを4つにする話です。  僕は教育委員会というのは、今日、奥野委員もいろいろとお話しされましたけれど、何か生徒が減少したから統合しなきゃならんという統合ありきのような話にしか私たちには理解できなかった。今、社会は何を求めているのか。人数で判断するのか。そうではなくて、子供をどう育てるかということの教育の根幹が私には見えないんですよ。そういうことで人が育ちますかね。富山県は教育県だとおっしゃるけど、何が教育ですか。とてもとても私は理解できないですね。  私はなぜこういうことを言うのかというと、この話、ちょっと長くなって恐縮ですが、新幹線を開業するちょっと前でした。富山県を代表する、あるいは日本を代表する、世界に進出しているYKKの吉田会長とたまたま御一緒する機会があって、お話を承ったことがございます。  どういうことをおっしゃったかというと、富山県のこの黒部というところは我々の生まれ育った本山だと。今は東京一極集中になっているけれども、新幹線が開業するから、ここを大事にして、本社を富山に移して、さらに工場を拡張しながら、ここに礎を、ここに垣根を残し、しっかりと充実させて、もっともっと企業を発展していきたいと、こういうことをおっしゃっておられました。  世界の七十数か国に拠点があるとおっしゃいました。時折海外へ行っても、地方に企業が集中してずっとやっている地域というのは、やはりすごく元気がいいと。日本は東京に人も物も金も全て集中していると。こんなばかげたことはあってはならんと。だから、私は富山県を中心にしていろんなことを考えていきたいんだということをおっしゃいました。とても含蓄のある話でしたし、なるほどなと私は当時思いました。  多分、知事も御存じだと思いますが、経済同友会のときにYKKの副社長の井上さんにも、私が会長から聞いた話を言ったら、そうなんだよ、富山県に人を集めようと思っているけど、なかなか人が集まらないと。YKKAPの場合は住宅メーカーで、サッシや玄関の戸を造ったり、家を造ったり、デザインをするんだと。富山県の高校にデザイン科がない、人材を確保したくても、そういうところがないじゃないですかと。地元の産業が求めているものに対する教育がされていないじゃないですかと。みんな普通科じゃないですかと。これもおっしゃいました。  富山県のものづくりが日本海側の中で今日まで発展してきたのは、いつも知事がおっしゃる十字路の中で発展してきたのは、多くの産業があったからです。ものづくりがずっと成長してきたわけです。そこでいろいろな人たちが一生懸命働いて、努力をしてきて、今日の富山県は発展を遂げてきたわけです。その人づくりあるいは企業づくり、ものづくりが、人というものがしっかりとサイクルになって、その子供たちが立派に成長して、連携して、また地元で活躍する、あるいは学校へ行ったらまた帰ってきて地域のために働いてもらう、それが教育ではないですか。  おととい、瀬川委員があるデータを出されました。五十嵐委員もその話をされました。それから、澤崎委員もそのことを話しされました。みんな生徒のこと、いろいろなことをデータを示して話をされました。みんな危惧して、心配しているのですよ。  本県の高等学校の在り方、いろいろなやり取りの中で、こういったところがどうも私は見えにくい。そのことがなっていないことを極めて私は残念に思っています。  私は結構いろいろな人たちの交わりを大事にして、地域の人たちからいろいろな意見を聞いて、何を今求めておられますかといろいろな機会を通じて話をいたします。知事は民間人だとよくおっしゃいますが、私はもっと民間人に近いと思っているのですよ。いろいろな人たちの話を聞いて、少しでも県の中でその話をして、もっともっと富山県をよくしたいということで、いつも情熱を持って今までやってきたつもりです。  だけど、どうもそういうことに、今データを見ると、生徒は少ない。出て行っている。そして、おとといの話じゃないですが、八百何十人増えたというけれども、転出はやはり多いというのが現実でないですか。  今、災害のことなどもいろいろと大きな社会問題になっていますし、いつ何どき災害が来るか分からないというと、これからDXの問題等々を考えたときに、やはりそういう建設業界で働く人たちをしっかりと育てていかねばならんということは何回も何回も議論してきているはずです。  学科をつくってもそこに人が来ない。今の話ではないけど、奥野委員もおっしゃったけど、そういうことをやはり絶えず議論して、どうすれば子供たちに夢を与えられるのか、この地域の中で役割を果たしていくのかということは皆さんと一緒になって考えなきゃならない課題ではありませんか。  どうもそういったことが最近おろそかになっているような気がして、どこどこの一流の大学にたくさん入ったから富山県は教育県だと、とんでもない話ですよ。その方も立派な人たちですよ。その人たちを私は否定しません。日本のために、世界のために働いてもらいたい。しかし、もっともっとこれから地元で働いてもらう人たちが増えないと、地方が成り立たないでしょう。なぜ地方創生と言っているのですか。地方創生とはどういうことですか。東京だけにしてしまったらいいのではないですか。農業だってみんなどこでつくるのですか。副知事、田んぼ仕事はどこでやりますか。みんな地方がやっているんですよ。  食料、ものづくり、それをやるためにどうしても人材が必要です。そのために教育をどうするかということを考えるのが地方ですよ。我々の責任です、それが議会です、富山県ですよ。私はしっかりそのことをやっていかなきゃいけないんじゃないかと思います。  そこへウクライナの話が入ってきて、今食料のことやエネルギーのこと、またいろいろな社会の情勢が変わってきたということからすると、何としても、この問題に時間をかけるわけにいかないので、一日も早くそういった問題にしっかりと対応してもらいたいということを何度も申し上げてきたつもりですけれども、どうも現状はまだまだ見えていないと思っています。いかに新しくどうチャレンジしていくのかということを主眼に置いて検討していただきたいと思いますが、改めて教育長の所見をお尋ねしておきたいと思います。 143 荻布教育長 教育委員会では、昨年度、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会を設置しまして、これまで3回の会議を開催して、県立高校の在り方について議論を進めております。  委員御指摘のとおり、これからの高校教育については地域の特色を踏まえつつ、産業界や時代のニーズ、中学生の進路希望状況などをしっかりと把握した上で検討することが重要と考えており、今後この検討委員会では、生徒や保護者、企業などを対象に、県立高校に関するアンケート調査を実施し、その結果を踏まえた上で、時代に即した人材育成を担う高校の在り方について検討していく予定としております。  今後の本県の高校教育の展望としては、変化の激しい予測困難な時代にも対応できるよう課題を見いだし、主体的に考え、解決策を生み出す資質能力を育成していくことが必要と考えております。  このため、企業、地域とも協働的に連携をして、課題解決型学習やキャリア教育などに積極的に取り組んでいるところでありまして、地域で活躍する人材育成にもこれはつながるものだと考えています。  こうした中、新しい時代の高校教育の在り方については、国においても、革新的職業人材を育成する専門学科改革や、学際的な学びや地域社会に関する学びを重点的に取り組む普通科改革などの制度改革も進行中です。  こうした動向も踏まえ、地方創生や教育DXなど、社会情勢の変化や新たな課題への対応も図りながら、高校教育のさらなる充実に取り組んで、生徒の様々な可能性を最大限に引き出し、そして富山県の未来を担う人材の育成に努めていきたいと考えております。 144 米原委員 何とか前向きに考えていこうということは、前から教育長からもいろいろと聞いているのですが、なかなかその姿が見えないというところが極めて残念に思います。  いろいろなことを協議しないといけませんけれども、知事がおっしゃるウエルビーイングということであれば、今こそ教育にしっかりと投資をして、富山県だからできることがあるんですよ。地方がどうとかこうとかではないのです。富山県だからできることがあるんですよ。これをしっかりやっていくことが富山県づくりになり、人づくりになるんです。そういうところにもっと着眼して、しっかりと進めていただくように取り組んでいただきたいと思います。  もう一つは、これは知事にもお尋ねしたいのですが、先ほど申し上げたように、ウエルビーイングの向上につながる教育環境、高校を中心とすることがもちろん大事ですけども、さらに今、副知事も農林水産省から着任されて、農業の関係──先ほど食料のことを申し上げましたけれども、いろいろとこれから検討しなきゃならない、食料問題というのは大きな課題ですよね。  富山県に県立中央農業高等学校というのがあるんです。私は、五、六回視察に行きました。あるとき、ちょうど本校へ行く前に、左側にある格納庫に生徒が10人ぐらいいたものですから、ちょっと止まって子供が何しているのかなと見たら、そこに農機具が五、六台ありました。ばたばたの──ばたばたとはおかしい言い方ですけども、相当古い農機具でした。その農機具を使ってどうしているといったら、しょっちゅう故障すると言うんですよ。  今、農業しなきゃならないと言っているのに、そんな古い機械を使って農業やろうと言ったって、子供が育つと思われますか。これからこの子供たちが農業をしっかりやっていこうというのに、十何年使った機械を使って農業やろうといったって、農業をやる気が起こりますかね。私は起こらないと思いますよ。  私は帰ってすぐこのことを委員会で言いました。二、三年かかりましたけど、何と機械が今5台新車といいますか、新しい機械を入れてもらいました。GPSがついています。今、子供たちは、喜んで喜んで一生懸命やっていますよ。新聞にしょっちゅう出ています。富山の中央農業高等学校がいろんなことにチャレンジしています。全国の農業高校お米甲子園だとか、何か作ったとか、いろんなものを作ってやっていますよ。喜んでやっています。教育とはそんなものですよ。  したがって、この教育も高校だけではなくて、これから高等教育科のこともやはり考えていかねばならん時代になったのではないかなと思います。  そんな中で、機械を買って投資してもらったのは、これは購入なので、全部で5,000万円ぐらいかかったそうですけど、私はリースにしてほしかったと言ったら、県にはリースという制度がないと言うのですよ。そんなこと言っていたら何も進まないわけで、リースのほうがよっぽど新しい機械を更新できるわけですから、子供がもっと元気になります。お金もすぐに要らないわけだから。今はレンタルの時代ですよ。借りればいいんです。何だったらチェンジすればいいんですよ。それを購入といったら、また予算を見ないといけないから、また時間かかるのですよ。  そういうようなことを私も現場で見てきました。さらに寮も見てきました。おかげさまで寮もきれいになりました。  それから、教室も見てきたのですが、初め、私に行くなと言うんです。教室を見せてと言ったら、すみません、教室へ行ってもらうのは勘弁してくださいと言って、みんな私を止めるのです。何を言っているんだと言って上がっていったら、天井、床、黒板、ばたばたでした。お手洗い見せてくださいと言ったら、お手洗いはウォシュレットだったけども、ばたばたのウォシュレットだった。それもきれいにしてもらいました。今、子供は、すごく元気になっていましたよ。  別に、富山中央農業高校だけを言うわけではありません。  クーラーを入れてほしいと言ったら、申請があったからできなかったと後から聞いたのだけど、それなら南砺の学校に聞いてほしいと。あそこはクーラー入っているのやったろと。あそこは山で涼しいところなので要らないんだね。中央農業高校のあるところは海抜が違うものだから、ここはエアコンが要るそうです。つけましょうと言ってつけてもらいましたけどね。子供たちは本当に元気になりましたよ。教育とはそんなものだと思うのですよ。  そこで、知事に1つお尋ねしたいのですが、富山県の地場産業に必要な、これから地域経済の中で人材を育てていく、そのために、知事がいつもおっしゃるウエルビーイングということであれば、そのことを教育を通じて将来、いわゆるいろんな仕立てをして、そして頑張っていく人間を育てていくことが真の幸せにつながっていくのではないですかと私は言いたいわけです。さらには高等教育機関のこともしっかり考えていくべきじゃないかなと、このように思うのですが、どうですか。
    145 新田知事 おっしゃるとおりだと思います、では終われないので、私自身も委員と同じように、高校教育というのは、これから国内外で活躍できる人材、また地域経済の中で活躍できる人材を育てていく。もちろん、そのベースには小中学校で学んだことが基盤になるわけですけども、人生の中でそんな時期だと思います。  御存じのように、これからの子供たちが生きていくのは、我々もそうですが、変化の激しい予測困難な時代を生きていくわけでありまして、今、富山県の教育の基本は、昨年の3月に策定しました第2期の教育大綱、これに基づいて教育振興基本計画をつくり日々の教育を行っています。  ここには、ふるさと富山に誇りと愛着を持つ、それから、地域社会や全国、世界で活躍し、未来を切り拓く人材をつくる、それを基本理念に据えています。  具体的には、プロジェクト学習やSTEAM学習──理系プラスアートですね、そんな教育などの課題解決型の教育を展開する。また、これは先ほど教育長からも出ましたが、職業体験などを通して職業観あるいは勤労観を育むためのキャリア教育、14歳の挑戦、17歳の挑戦などがあります。これらに積極的に取り組んでいます。  加えて、民間の力も借りようということで、富山経済同友会で課外学習というのもやっています。それから、各学校ごとにPTAなどが企画する「先輩に学ぶ」などという企画もあります。これらの取組は大変有効なことだと思います。私も民間人の頃は積極的にそんな場の講師になり、教壇に立たせていただいたところでございます。  そして、農業についても触れられました。就農を前提に実践的な栽培技術の習得を行う、とやま農業未来カレッジを設置しております。富山県にはいわゆる農業大学がないものですから、この農業未来カレッジが中央農業高校などを出た次のステップ、就農を前提として学ぶ場になっています。ここでもスマート農業技術の習得に本当に力を入れているところです。  特にこれからは、温暖化を見据えた栽培技術を研究して磨いていかなければなりません。そして、やはり農業も経営ですから、経営感覚のある人材の育成も必要です。  今月中には、農業教育と研修に関するあり方研究会というものも立ち上げます。何でもかんでも検討会とまた叱られそうですが、やはりそういった様々な知恵を集めて、教育の在り方、農業教育の在り方もしっかりと検討してまいりたいと考えております。  今後ますますグローバル化が進みます。私も海外の会議やカンファレンス、いろいろ出ましたが、会議は会議でかんかんがくがくやりますが、その後になりますと、一杯飲みながら、お前のふるさとはどんなところだ、やはりそんな話なんですね。それを語れない人は海外に行ったら全く尊敬されません。ですから、グローバルの時代こそ、このふるさと教育というのが大切になってくる。これも力を入れていかなければなりません。  いずれにしましても、企業経営と同様に、時代の一歩先を見て、スピード感を持って、ウエルビーイングの向上につながる教育環境を進めていきたいと思います。 146 米原委員 本当に何遍も同じことを言いますけど、今だからできることがたくさんあると思いますので、県の皆さん、本当に優秀な方々がたくさんいらっしゃるので、いろんな意見を集約して、富山県の人たちに、若者にどういうふうな夢や希望をこれから与えて育てていくのか、そのためにどういうふうな政策が必要なのかということをもっともっと皆さん胸襟を開いて、今だからできる、富山県だからできる、そういう思いでしっかりと取り組んでいただきたい。そのことを強く要望しておきたいと思います。  まだまだこのことに触れたいんですが、ほかの質問もありますので、先へ進めさせていただきたいと思います。  次は、地方創生、地域活性化の対策についてお尋ねしたいのでありますが、このたび地方創生局長に御就任された南里局長さん、あなたにはもっともっとたくさん御質問したかったのですが、たった1問しか用意してありませんので、大変申し訳ありませんが、このことに少し触れて質問させていただきたいと思います。  御承知のとおり、世界経済フォーラムが発表した、117の国の地域を対象とした2021年版の旅行観光ランキングで、日本がトップになったことが報道されましたね。どういうことかと見ますと、日本は世界で最も訪れたい国だと117か国の皆さんが表明されました。  それはなぜかというと、日本は治安がいい。安全・安心が非常にいい、交通インフラもいい、環境がいい、おもてなしが最高だと、日本の文化、食文化、これもすばらしい。こういうことで世界のトップクラスに今回評価されました。すごいことじゃないですか。  したがいまして、世界の中で日本が認められた。インバウンドでオリンピックまでずっと続いてきた5,000万人か6,000万人ぐらいの入込みが将来期待できたのでしょうけど、残念ながらコロナの関係があって少し頓挫してしまったというか、厳しい状況に至ってしまったということですけど、いつまでもこの状況が続くとは思えませんので、そろそろやはり新しい取組を私たちはしていかねばならない。  これが地方の活性化にもつながる、地方創生にもつながるということからいたしますと、富山県としてどんなことが考えられるか。これから富山県として取り組む課題は何とお感じなのか、その点をひとつ御答弁いただけませんでしょうか。考え方を聞かせていただけませんか。 147 南里地方創生局長 先月、今御紹介いただきました世界経済フォーラム──官民が協力するための国際機関でございますけれども、こちらの世界経済フォーラムが発表した2021年旅行・観光開発指数レポートで、日本が1位となったということは、我が国の自然や食など観光資源の豊富さや、御指摘のあった治安や環境などのおもてなしといったような観光のインフラ、こちらの整備が評価されたということかなと感じているところでございます。  今月10日から、パッケージツアーでの外国人観光客受入れも再開されております。早速、本県の観光地や宿泊施設でも、今月催行されるツアーの予約が入っていると聞いているところでございます。  一方で、地方創生、観光振興という点で言うと、富山空港の国際便の直行便の再開の見通しが見えないことが課題だと感じております。そのため、直行便再開までの間、羽田便を利用した送客助成は対象国等を拡充して、早期の需要回復を図るということをしております。  また、早期に回復が見込まれる東南アジア向けには、6月から1か月間、JR東日本と連携したシンガポールでの富山プロモーションのほか、来月には全日空と連携して、東南アジアの旅行関心層に広告配信を行うなど、本県の魅力を存分に発信して誘客促進を行っております。  なお、水際対策が厳格な台湾や中国、欧米豪の個人旅行者向けには、各市場の嗜好やニーズに対応した情報を提供するため、欧米豪デジタルマーケティングやサンドボックス予算を活用しまして、各市場に応じた観光情報の効果的な発信に向けた調査を時期を逸さずに実施いたしまして、SNS等の情報発信を強化し、旅行商品販売までのデジタル導線整備を進めてまいりたいと思います。  引き続き、水際対策のさらなる緩和を国に要望するとともに、本県の魅力、たくさんあると思います。私も富山に来て1年以上たちましたけど、やっぱり人の魅力というのは、この勤勉性や、それから薬売りの進取の気風ですとか、こういったところを最大限生かした誘客になるように取り組んでまいりたいと思います。 148 米原委員 1問ですみませんね。まだまだいろんなことを聞きたかったのですが、しっかりとこれから水際対策も含めて、本当に富山県、まだまだやらないといけないことはたくさんありますので、富山県にいらっしゃる間に、しっかりとこのことでまたいろいろと御指導いただきまして、南里さんがこういうことを残していかれたと言われるように、また皆さんも協力してくれますので、何なりとひとつまた皆さん、お尋ねをしながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  次に、5Gの推進について少しお尋ねをさせていただきたいと思いますが、これは御承知のとおり、本県は、中央省庁から非常に優秀な人材を本県に出向いただいている歴史があるわけです。総務省、経産省、国交省、厚生労働省、農水省、環境省、財務省などなど、たくさんの方々に本県のほうに御出向いただきまして、今日もなおこうして皆さん、副知事や、今御答弁いただきました南里さんをはじめとして、三牧さんもそうでありましょうし、また長谷川さんもいらっしゃるし、いろんな人たちがいらっしゃいます。名前抜けた人いませんよね。ああ、木内さんもおられる。厚生労働省。どうもありがとうございます。  大体2年から4年ぐらいおいでになって本省へ帰られるわけですけれども、私たちはやはり、せっかく富山に来られて本省へ帰られた後、中央を訪ねて行ったときにお邪魔をして、またその場で何か変わったことはありませんか、何か情報ありませんかと、いろいろな意見交換をさせていただいているのが今日までの状況であります。  何年前でしたか、総務省をお尋ねしたら、新田さんの親戚じゃないけど、新田一郎さん、八朗さんじゃなくて一郎さん。一郎さんは以前、富山県におられましたものですから、新田さんから、これから5Gという事業が面白いよと、これ、しっかりやっていかねばならん課題だということをおっしゃって、本当にいろいろと教わったわけです。私ども自民党の議員会の人たちと改めて本省に行って、1日近くでしょうか、いろんなことを教えてもらう勉強会をいたしました。さらに、当時、石井知事も行かれました。NTTも行きました。いろんな人たちの情報を考えながら5Gに取り組んだ経緯がございます。  富山県の考え方を総務省にまず陳情しようということで、お邪魔したときに──ちょうど当時は石田さんという大臣でした。野田聖子さんが大臣のときもありました。それから、佐藤ゆかりさんという副大臣もおられました──富山はえらい早いな、ほかの県はまだ5Gなんて言ってこないよ、富山県はどうして早いんだと言われたぐらい富山県の取組が早かったのです。しかし、早いという話だけど、どうもその後あまりこの話は耳に入ってこない。今、三牧さんが知事政策局長としてこの担当をしていらっしゃるようでありますけれども、5Gはデジタルトランスフォーメーションなどなど、社会の様々な課題の解決に必須の基幹インフラであり、地域間に隔たりがないように富山県はしっかり取り組んでいこうということになっているのですが、富山県の取組は今どんな状況になっているのですか。三牧局長に、その辺ちょっとお答えいただけませんか。 149 三牧知事政策局長 取組という御質問ですが、まず整備状況から御説明して、その上で取組を御説明できればと思います。  今、委員からも御指摘ありましたけれども、高速大容量で低遅延の通信が可能な5Gにつきましては、国のほうでもデジタルの力で住民のウエルビーイングの向上や地方の社会課題の解決を図る、まさに今、岸田政権が掲げておりますデジタル田園都市国家構想の実現に不可欠なデジタル基盤であるとされております。  そのため県では、今かなり早く取組を始めたというお話がありましたけれども、全国知事会とも連携いたしまして、国や携帯電話の事業者に、地域間に隔たりのない5Gの環境整備について働きかけてきているところでございます。  国におきましては、ちょうど3月にデジタル田園都市国家インフラ整備計画を策定しておりまして、都市部にのみならず、地域部においても5Gの整備が重要であるとしまして、これまで90%としていた来年度末、2023年度末の5Gの人口カバー率を95%と、さらに目標を高めるという判断をされているところでございます。  委員お尋ねの本県の5Gの整備状況でございますけれども、こちら、なかなか今までデータがなかったもので、国から昨年末に、携帯電話事業者に都道府県ごとの整備状況を半期ごとに国に報告するようにという依頼がなされまして、現在国において取りまとめ中と伺っております。  そういう中で、県内の整備状況の一助となるデータといたしましては、NTTドコモさんにおきましては、2020年の春に5Gサービスを県内で開始されておりまして、昨年度末、2022年の3月までに舟橋村を除く14市町をエリア化しております。人口カバー率については60%まで引き上げるという目標で昨年度は進めてきており、今年度末までには90%を目指すと伺っております。  引き続き5Gのインフラ設備に向けて、国や携帯電話事業者と連携しながら進めていきたいと考えております。 150 米原委員 もう一点の関係もよく似たような話なので、ともかく取組は非常にスピードを持って取り組んできたのですが、その後どういうふうに進んでいるかということがちょっと分からないというか、私が質問しないから分からないのかもしれませんけれども、ちょっとトーンダウンしているような感じもしないわけでもない。  こういった5Gというのは、どんどん新しいものに進化していきますから、最初あったからそれが全て十分に果たされるとも思わないわけで、進化しているということもありますから、いろいろしっかりと取り組んでいかねばならん課題でしょうけれども、どうかしっかりと富山県としてこの5Gの事業を進めていくように、三牧局長、しっかりまた進めていただいて、富山県の振興に大きな役割を果たされるように一層御尽力いただきたい。  この後の件もそんなような質問でありますので、今のお答えで十分理解いたしましたので、ぜひまたよろしく御指導お願い申し上げたいと、御活躍をお祈り申し上げたいと思います。  時間が迫ってきておりまして、申し訳ありません。  次の質問でありますけども、今日、実は針山委員からも午前中に御紹介がございました。公共交通体系の再構築ということについて、いろいろとお話をされました。  先般、近江鉄道に、実は視察に行ってまいりました。南里さんが元いらっしゃったので、滋賀県の三日月知事に南里さんから御紹介いただいて──知事もよろしくおっしゃっておられましたよ──、知事にも自らお出迎えをいただいて、知事室でいろんな懇談をさせていただきました。喜んでいたと伝えておいてください。そういうこともあって、担当課長も非常に御親切にいろんな御指導をいただきました。  また近江鉄道、あの近くに米原(よねはら)というところがあるのですが──米原(まいばら)だった──、その米原(まいばら)のほうへ行って、本社の近江鉄道へも行っていろいろと勉強してまいりました。  今日田中さんにお尋ねしたかったのは、ずっと富山県の歴史を見ますと、最初は公共交通の担当部局は観光・交通振興局に総合交通政策室、地方創生局に総合交通政策室、有田さんが来られて地域交通・新幹線政策課長とか、何か次から次といろんなセクションが替わって、やっとこの交通政策局長ができて、田中さんがそこに就任されたわけですね。おめでとうございます。ともかく、いよいよこれは本音でしっかり取り組んでいくんだなということが少し伝わってまいりました。  富山県も今、私ども議会でも、公共交通対策をしっかり勉強しております。私は、この前の委員会でもここでパネルを使って、富山県の現状と石川県と福井県、それぞれ見てきたことあるいは感じたことを皆さんにお見せして、こんな現状でどう富山県は公共交通をこれからしっかりと富山県版としてつくっていくのかということを投げかけた。その後からまた私どもでいろいろと県委員会をつくって、総合交通特別委員会でいろんなことを検討して、いろんな業者の方々にも来ていただいて、何が課題なのかということも進めてきたところでございます。そしてその上で、先般、近江鉄道へお邪魔して話をしてきたということであります。大変参考になりました。  先ほど針山委員からも話があったので、そのことに尽きるかもしれませんが、非常に資料をたくさん頂いているわけです。これまた改めてしっかりと皆さんと議論したいと思いますが、どちらにいたしましても、富山県にはたくさんの鉄軌道がある。会社も幾つもある。これはやっぱり整理をしなきゃならん時期に来ているなということだけははっきりしたなと。  では、どんなふうに整理するかというと、知事もいろいろそのことについては大変御心配いただいているのですが、どういうふうにこれから進めていくのかという一つの状況だと思いますが、田中局長として、今このことについてどのような状況で進めていこうとしていらっしゃるのか、ひとつお尋ねしておきたいと思います。 151 田中交通政策局長 新型コロナの影響等により、公共交通事業者の経営環境はこれまでにも増して厳しくなっております。このため、先般、富山県地域交通戦略会議を立ち上げ、第1回の会議を開催させていただきました。計画の策定に当たりましては、計画の区域、これは県内全域を対象としておりますので──今委員から御指摘ありましたけど──、富山地方鉄道、城端線・氷見線、万葉線、あいの風とやま鉄道など、県全体の鉄道線を対象としております。  また、この会議の下には、鉄軌道の利便性、接続性の確保などのために、利用者の視点に立った鉄軌道サービスの維持改善等について議論する鉄軌道サービス部会、こういうものを設置しまして、県が中心になりまして、有識者や交通事業者等と議論を進めることとしております。  また、この部会長には、近江鉄道線の存続検討に携わられておりまして、また国内外の交通政策に精通した有識者の委員に就任いただきました。  今年4月からは、委員からもお話しありましたけど、新たに交通政策局が単独の部局として設置され、地域交通政策監も配置されるなど、交通政策の推進体制の強化が図られたところであります。  今後、有識者等の御意見も伺いながら、市町村や交通事業者、幅広い関係者との連携を図りながら、交通ネットワークの活性化にしっかり取り組んでまいりたいと思います。 152 米原委員 この問題にしっかりと取り組んでいかねばならん時期に来たなということを改めて実感しております。  こういう業界の方々といろいろ話していると、みんな縦割りといいますか、線路というのはみんなそれぞれ認可をいただいた会社がずっとあって、バスの路線が決まるとか、みんなそれぞれ認可事業です。だけど線路は同じです。道路も同じなんですよ。この間打合せしたときに、あいの風と富山地方鉄道は線路が違うのかと言ったら、同じだとおっしゃる。私は前の助野さんに、では、ここの電車はこっちを走れるのかと聞いたら、走れると言うのですよ。簡単な話だけど。それが、みんなそこに垣根があって、行き来できないわけですね。  だけど、せっかく電車買ってきたけど、あそこに飾ってあるというのでは駄目で、やはりその電車をどこでも走らせるように、あいの風も走れる、あるいは氷見線も走れる。氷見線とか城端線というのはディーゼルですから、これはバッテリーカーに変えることもできるということも聞きました。工夫すればいろんな方法があるということも分かりました。  そういったことも含めて、要するに、富山県の公共交通というのは極めて重要な県民の足でありますので、県民にもこのことを公表して、どんな使い方をすれば皆さんがより喜んでくださるかということも考えながら、この公共交通体系というものはしっかりとやっていかねばならんということでございますので。まだまだいろいろ話をしたいことがあるんですが、十分分かっていらっしゃると思います。  近江鉄道の皆さんも、くれぐれも田中さんによろしくおっしゃってくださいとおっしゃっておられましたので、また何かあったらいつでも呼んでくださいということでした。これからもいろんな機会を通じて、もっともっといろんな人の意見を聞いて取り組んでいけばいいなと思っていますので、しっかり私たちも応援しますので頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。  また知事に振って申し訳ないのですが、あと一、二問です。  もう大分古い話で恐縮ですが、中沖さんの時代の話ですが、当時は知事も私どもも、青年会議所や経済同友会とかいろんなことに参加していた頃だと思いますけど、私にこうおっしゃったことがあるんですね。ちょっと遊びに来いということで部屋に呼ばれたことがありました。今、若い人たちは富山県でどんなことを考えているか、何が一番富山県に欠けていると思うか聞かせてほしいとおっしゃいました。さっきも言ったように、私は当時、いろいろな人たちの話を聞いていると、富山県というのは高等教育機関が非常に少ないということをいろんな人から聞きました。今もそうです。少しは改善されたかもしれません。  当時そう言っているときに、インテックの金岡幸二さんが──中尾さんも当時おられました──いわゆる富山国際大学を建学されました。その後、高岡の川原忠平さんが法科大学を立ち上げられました。これは三協さんがバックアップして建てられました。それから、さらに当時、中沖さんは富山県立大学をつくろうということで、富山県立大学をおつくりになった。これは大谷米太郎さんが、大学として地元に、昭和37年に短期大学だったものを県立大学に改組していったということです。今本当にすばらしい大学になって、それぞれの学生が、地元の産業に大変大きな役割を担って今活躍していると思います。  こういう富山県と石川県との違い──あのときはたしか、富山と石川の違いは何だろうかと言ったら、若者の違いだと言われた──石川県には1万5,000人ぐらいの学生さんがいるけど、当時富山県は6,000人ぐらいだったと思う。この差がずっとあるのだということを私たちは申し上げて、やはり高等教育機関というのはしっかりしないといけないとおっしゃったことを今も私ははっきりと覚えています。  先ほど、食料やエネルギー、DXだとか、自給率がどうだとか、この間、中谷商工労働部長も富山県の産業について、自動車の関係についても、いろんなことについて、これから産業をしっかりと、自動車産業のことについても触れておられましたけれども、そのための人材をどうするかということもおっしゃっておられましたよね。  そんなことからすると、たくさんの人材をこれから求めていかねばならない。そういう状況になって、今知事がおっしゃるウエルビーイングということが、どういうふうな役割をこれから果たしていくかというと、高等教育機関で育った子供たち、学生が社会のためにどういうふうにこれからそれに取り組んで、自分たちが富山県で生活をして、結婚して、子供さんが生まれて、そして幸せだなと思えるような、そういう富山県をつくるのが知事の言われるウエルビーイングじゃないですか。  言葉ばっかりウエルビーイングとおっしゃっても、私たち働く者にとって、生活する者にとって、やっぱり富山県は本当にすばらしいと自信を持って言えるぐらいの県だと思っているんですよ。ところが、正直言って若者はまだまだそういうことの感性というのは足りないと思っている。まだ離れていこうとしているのですよ。離れたら帰ってこないのだから。だから、ああいう瀬川委員が出したデータが出てくるのですよ。五十嵐委員も出されました。皆さんそれぞれ教育の関係の数字を出されました。この数字が何なのかということをもっともっと掘り下げて、今だからできる。こういう富山県を知事の下でしっかりと取り組んで、なるほど、富山県変わったぞと言われるような富山県をつくっていくことが私はこれからの地方創生につながっていくのではないかと思います。  富山で生活したい、住みたい、ここで働きたい、住んで子供を産み育てたい、そしてみんな健康で幸せに暮らすことができるような、そんな富山県を目指していくことがウエルビーイングにつながっていくんじゃないですか。  そういうことをぜひひとつ、知事にはしっかり頑張っていただきたい。改めてその辺の決意をひとつ聞かせていただけませんか。 153 武田委員長 知事、答弁を簡潔にお願いします。 154 新田知事 大変重たい質問なので、簡潔には答えられないですよね。ウエルビーイングがちょっと独り歩き、言葉が上滑りしているんじゃないかという御心配もいただきました。  確かに私は、去年の県民の世論調査で、ウエルビーイングを知らないという人がほとんどだったので、あえて言葉としてまずは使いまくろうというふうには決めています。  昨日も実は2つパーティーを夜、掛け持ちましたが、もうウエルビーイング、ウエルビーイングと言いまくりました。そういう意味では、ちょっと言葉が先行になっているのかもしれません。  でも、現実には本年度も154本の事業、ウエルビーイング向上のために予算をつけていただきまして今進めているところでございます。  ウエルビーイングの向上を図って、次世代の価値を生む人材を富山で育んでいく。そして、おっ、富山県、ウエルビってるぞ、そんなことで県外からも人を集めてくる。そういった人づくりがやっぱり戦略の柱です。まさにこれは米原委員おっしゃるとおりだと思います。  このために、例えば、1つは突き抜けた起業家へ集中的に支援をする。SCOP TOYAMAを中心にしてやっていきたいと考えています。何もこれは若くして株式上場させて金持ちをつくってやろう、そんなことじゃないんです。ロールモデルをつくりたいのです。そして、富山県で挑戦をして大きなことができたということ。若い人たちがそれを見て、自分たちもできるんじゃないか、富山にもチャンスがあるんじゃないか、やればできるんじゃないか、そんなふうにしていきたいと思うんです。  安田善次郎さんを生み出しました。浅野総一郎さんも生み出しましたが、どちらも東京に行かれたのです。京浜工業地帯へ行かれたのです。さっき出た金岡幸二さんは富山でやっていただきました。やっぱりああいう方に続く人を富山で生み出したい。そのために、誰か数少ない人を集中的に支援して、そういったお手本となるような、ロールモデルと言いますが、そういった人をつくり出していきたい。これが1つです。  それから、データサイエンス人材をつくり出すことも大切。これもまさに今、産業界のニーズがあることであります。富山県立大学にデータサイエンス人材を育成する部門ができればと今検討を進めているところです。これも大きな投資になると思います。  先ほどの起業家支援も大きな投資になります。それから、それらをベースに、さっきおっしゃった5G、デジタルインフラ、これも投資になります。こんな投資をしっかりとして、でもつくるのは人です。人づくりを進めていきたい。そして、それがウエルビーイングの向上ということにつながっていきます。そして、ウエルビーイングの向上がまた経済成長につながっていく。そして、その経済成長がまたウエルビーイングを高めていく、そんないい循環をつくっていくというのが富山県の成長戦略であります。そんなことでしっかりと頑張っていきたいと思います。 155 米原委員 終わります。 156 武田委員長 米原委員の質問は以上で終了しました。  以上をもって、本委員会の質疑は全て終了いたしました。  委員各位におかれましては、長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。  これをもって、令和4年6月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。                      午後4時15分閉会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...